銀歯

シマ : 12月31日


区から歯科検診の案内が届き検診へ。
検診の結果、虫歯が発見され通院することとなった。
年末年始を挟んでしまうと休診日との兼ね合いも面倒だし、なんとか年内に全ての治療を終わらせたいと考えた。

歯医者へ通院するのは非常に面倒くさいが、様々な専門器具に囲まれた環境下で口を開き、とにかく無抵抗な状態で歯科医や歯科衛生士にされるがままにされる。この「観念するしかない感じ」というか「完全にあちら側に分がある感じ」に身を置く緊張感のようなものが嫌いではない。
そしてひとつずつ工程が着実に進む様も、効き目があるかわからない薬を飲んで様子をみるような通院に比べると結果がわかりやすくて良い。

検診に選んだ歯医者は人気があるようで、予約の枠は分刻みで設定されており、時間を要する治療の枠はだいぶ先しか空いていなかった。

歯石除去やクリーニングは歯科衛生士の方が。その隙間で歯科医はメインの治療のみを流れるように行い、段取りやスケジュールが上手くハマらない時には治療に入るまで少し待たされたりすることもあった。
しかしながら、治療についての説明などは分かりやすくて高圧的な様子もなく、忙しいながらも丁寧さを心がけている様子が伝わり好感を持てた。

私は、忙しない人に直面した時なるべくその人の仕事の妨げにならぬように、協力した動きがしたくなるタイプだ。
フェイスシールド越しのくぐもった歯科医の指示を一回で聞き取れるよう耳をすましたり、口を大きめに開いてみたり、「よく口を濯いでください」と言われればよく濯ぎ、「軽く口を濯いでください」と言われれば軽く濯ぎ、歯科医に忠実な患者を全うした。

虫歯は計四度の通院で完治した。

虫歯のある箇所を削り、歯型をとり、仮の詰め物をして、歯形に合わせた銀歯が完成したらそれを入れて完了。という流れだった。
セラミックを希望したが、虫歯が歯を跨ぐような箇所にある為銀歯の方が適していると言われ、オススメ通り銀歯をつめた。

治療の最終日に、歯型に合わせた銀歯を詰めてもらった。
銀歯を詰め終わると歯科医に「気になるところはないですか?」と聞かれた。
舌の先で新しく詰められた箇所を確認して、
「少し銀歯の内側にバリのような引っかかりを感じるので削って欲しい」と伝えた。
歯科医は口中を鏡で確認したあと人差し指の腹で歯を触り「あー、はいはい、ここですね!わかりました。」と得意気に言いバリ取りをした。

「これで大丈夫なはずです。」と言われ、再度舌先で確認すると先ほどよりもだいぶ滑らかになってはいたが少々引っかかりを感じた。

私は歯科医の忙しさと、得意気な様子を目の前にして、もう少し削ってほしいと思いながらも裏腹に
「これで大丈夫です。」と答えた。



大晦日。

コメダ珈琲で本を読みながら、私はまだ銀歯のバリが気になっている。

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