コンセプトアルバム「アダプト」を初めて聴いた感想・考察を軽めに書く
こんばんは、去年の暮れからずっと髪の毛が伸び続けていることでお馴染み、炊飯噐です。
本日、サカナクション通算9枚目のアルバム「アダプト」が届きましたので、聴いた感想や思うところなどをつらつらと書いていきます。
予約した去年から発売を心待ちにしていたので、楽しみですね!
はじめに
少し解説を付します。拙い文章ですので、詳しくは公式サイトをご覧ください。
今回のアルバム「アダプト」は、アルバムとしては通算9枚目ですが、コンセプト・アルバムというくくりで換算すると1枚目となります。
まず大前提として、「アダプトプロジェクト」というプロジェクトの一環としてリリースされたアルバムということを念頭に置いておく必要があります。
去年の暮れから始まったオンラインライブ、全国ツアーを経て、今回のアルバム発売となっています。
今後は「アダプト NAKED」と呼ばれるホールツアーを回り、次の「アプライ」、つまり「アダプト」が意味する「適応」から「応用」へと移り変わっていきます。
コロナ禍で何もかもが変わってしまった今、ライブはどうあるべきなのか、音楽はどうあるべきなのかを山口一郎さんをはじめとするサカナクションのメンバー、ひいては彼らを支えるチームサカナクションが考え、実践したプロジェクトとなっています。
これらも加味しながら曲を聴き、音楽面にも踏み込んで感想を書きました。加味しながら聴かざるを得なかった、と言ったほうが相応しいかもしれません。
1.塔
インスト曲です。
アルバム「アダプト」のイントロダクションムービーでも、冒頭部分が使用されていました。
冒頭部分、一定の音が一定時間流れて、後半に水の流れるような音、雑踏、風の吹く音などの環境音がサンプリングされたものが用いられた印象でした。
今までの生活から急変して、それに適応せざるを得なくなったコロナ禍の状況を表しているのだろうか、という考えを持ちました。
また、タイトルの「塔」は、単にアダプトツアーで使用されたアダプトタワーを意味するだけでなく、「アダプトタワーを使ったライブが、アダプトプロジェクトの始まりとなった」ということを婉曲的に表したものではないか、と感じました。
2.キャラバン
アダプト ONLINEで初披露された新曲です。
タイトル通り、歌詞全体を通して砂漠を行くキャラバンの様子が描かれています。曲調も何となくそれっぽい感じがします。
砂漠をこの急変して枯渇した現代の風景として捉え、歌詞にしたのだろうか、という考えを持ちました。
しかしながら、やはりライブ音源と実際の音源をこうして聴き比べてみると、受ける印象がかなり変わってきますね。コーラスがかなりはっきり聴こえる気がします。
ライブでは「カッコいい」という印象が強かったのが、音源で聴くと、特にボーカルが「気だるげ」だという印象の方が強いです。理由ははっきりとはおっしゃっていませんでしたが、先日のInstagram Liveでも一郎さん本人が「わざと気だるそうに歌っている」とお話しされていました。
3.月の椀
トヨタのヤリスクロスのCM曲です。
タイトルが発表されるまでは、ファンの間ではサビの部分から「気になりダンス」と呼ばれていました。
こちらもフルバージョンとしてはアダプト ONLINEで初披露され、先日のFNS歌謡祭の特番ではメンバーが日本全国各地に散らばり、テレビ初披露されていました。
この曲の原案自体はコロナ禍以前からあったので、他の曲と比べるとそこまで現状を反映した歌詞にはなっていないように思えます。
強いて言うなら、外に出られない環境の中で外の月に想いを馳せている、あるいは月を投影して特定のある人を気になり出している、といったところでしょうか。
4.プラトー
サンテFXのCM曲です。
去年のサンテFXのCM完成披露記者会見で初披露され、その後アルバム「アダプト」から初めての曲として先行リリースもなされています。
ライブミュージックビデオも公開されています。
特徴的なギターフレーズが目立つカッコいい曲調とは裏腹に、前半の歌詞の内容はコロナ禍に不安を感じ、目を背けようとしているように感じます。
その後、前に踏み出そうとする意思が感じられます。力強い歌いかたがそれを助長しているようにも感じます。
5.ショック!
映画「劇場版 ルパンの娘」の主題歌です。
アダプト ONLINEで初披露され、アルバム「アダプト」から先行リリースされた曲としては2曲目になります。
ライブミュージックビデオも公開されています。
明るくて踊りたくなる(通称ショックダンス)映画の主題歌としての役割も果たしながら、「ショックな事件を求めるあまり、我々はショックな事件にあまり感情を示さなくなってきている」という、コロナ禍の陰鬱な状況も歌詞に反映されています。
以前FM802に生出演された時に、「明るい曲調なのに歌詞がショックなのがサカナクションぽい」と指摘されていたのも頷けます。
6.エウリュノメー
インスト曲です。今まで披露されたことは一度もありません。
ドラムの江島さんが担当された楽曲だからか、全体を通してドラムや鈴などの打楽器が目立つ曲になっている印象があります。聴いていておもしろいです。
途中、モールス信号と思しき音がサンプリングされており、意味を取れるかもしれないので、これからの考察のしがいがありそうです。
関係ないとは思いますが、私が最初に想起したのはロシアによるウクライナ侵攻でした。
個人的に、アルバムの中の音楽としては1番好きです。
7.シャンディガフ
今まで披露されたことは一度もない曲です。
はじめは一郎さんの咳払いのような音と、おそらく一郎さんが触っているのであろうアコースティックギターの弦に触れる音がするところから生感が漂う曲はじまりですが、岡崎さんが担当されたので、全体を通してピアノが目立つ曲調となっています。
また、どことなく「星野源感」がある印象でした。あったかい感じがします。
タイトル通り、お酒を主体とした内容の歌詞になっており、「さよならはエモーション」の歌詞の中にもあり、2020頃から頻繁に使われるようになった「夜を乗りこなす」という言葉をテーマにしているのだろうか、という印象を持ちました。
個人的に歌詞に「メスライオンみたいな猫」が出てきてびっくりしました。実家の飼い猫のことなのかな。
ジャズバーでかかっていても何の違和感もない曲で、タイトル通りお酒に合いそうです。私は飲めませんが。
8.フレンドリー
アダプト ONLINEで初披露された曲です。
ライブではエンディング曲として披露されていたので、意味としてはライブで中心に披露する曲の世代交代、つまり「適応」と言ったところでしょうか。
曲調はシティポップのような感じを持ちながら、どこか切なさを孕んでいる印象です。
歌詞は「正しい正しくないと決めたくないな」という言葉が連呼され、その他の歌詞を通してもこの現状が正しいと決め打つのか否か、という自問が聴いて取れます。
9.DocumentaRy of ADAPT
インスト曲です。踊れます。
アダプト ONLINEで初披露されました。アルバム「DocumentaLy」に収録されているインスト曲「DocumentaRy」の新解釈というところでしょうか。
「DocumentaLy」のテーマ的な曲だと勝手に思い込んでいたので、ライブで披露された時は本当にびっくりしました。
サンプリングが多用されていますが、雑多な感じはなく、逆にスッキリしているし丁寧な印象を受けます。
音源で聴くと雑踏などの環境音がかなり聴きやすくなって、ライブ音源との違いがすごくわかりやすいです。
おわりに
お読みいただきありがとうございました!
大雑把なまとめ方にはなりましたが、エウリュノメーのモールス信号の音のサンプリングをはじめとして、まだまだ考察できる点は多くあるので、これからもっと聴き込んで、サカナクションのメディア出演などでの発言も参考にしながら考察していきたいと思います。
また、ご興味を持たれた方は、CDの販売開始の他に、一郎さんも以前に「ストリーミングで興味を持ってくれた人がCDを買ってくれたらいい」という旨の発言をしていますので各ストリーミングサービスでの配信も開始しているので是非聴かれてみてはいかがでしょうか。
そして、この記事が何らか(?)の参考になれば幸いです。
さようなら〜……
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