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2021年4月の記事一覧

自動筆記15 臓器との荷揚げ

自動筆記15 臓器との荷揚げ

関節の間に風が通るのと、筋肉とか神経とか身体のこと、皿の上にある物を食べるだけの自意識に、ふわりと眉間にナイフを刺される。真水が降って大地に衝突して音、屋根がある部屋、音。理解と呼べるような理解はないけれど、そういうことか、と呟ける。全て知ってて、深い所から見て楽しんでることが、白い壁に指の腹を当てるとわかる。扉や橋、誰にも見えない空間に、自由に振る舞える表現に染まった身体がたっぷりあって、すごい

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自動筆記14 溢れ返ったアー威

自動筆記14 溢れ返ったアー威

取り返しのつかない記憶を、全部雨にしてわからないくらいに海にして、誰も気にかけなくなり、地球を愛せる蟻の歩幅まで。ラクダのこぶに溜まった水に、コンビニのライトが当たってるみたいなこと、分別の板が分厚くなって、全部空に合わせて雲がかからない。道を選ぶほどに深い深い見えない所で繋がってる知らない世界。蓋をするよりも、思い出せないほどに目が寄る方が、ずっと中心、結果のない恋がある。コンクリートの粒や、ク

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ショートショート再開しよう

ショートショート再開しよう

ろうそくに火を灯して、締め切ったカーテンが私の物質的な表現を背にしているように感じる。鼻に痛みほどの暖かみ、目に眩しい僅かな炙り、頬を削ぐように部屋の立体の深みに逃げる気体は、後頭部を板に跳ね返る記憶と混ざり合いながら、胸の奥に来世として落ちる。目を閉じれば、まつ毛の風で火が揺れ視界が暗明になる。顔の表皮の中央に星があり、頭それ自体も星のように思った。その幻想に、息を吹くと火が消え、そのカーテンは

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自動筆記13 グナの諦めない部屋

自動筆記13 グナの諦めない部屋

風に靡く洗濯物に、山奥にいる昔の私の匂いを感じてうっとりして、瞑想は絶え間なく、遠距離で延長されて、何も必要としなかった。本当は手放していいはずの全てを、小指だけでもと可愛らしい持ち方をする。むしろ、このためにどちらにも振り切ることのない旅がある。文章を書く時の骨と肉の間に風が入るような、この感覚欲しさに書くことの、その躁、これはクリアで、現実が1ミリになる。やっぱりキリンは可愛くて、どんなに咲い

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