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2020年3月の記事一覧

羽ー。軽く愛嬌で縦横無尽にルールを跨ぐ、空気を動かす、手続きなく欲を通す。
不明瞭な信念が根差してあることに自覚さえなく、筒状の現実は伸び伸びと土と空を繋いでいる。
電気をつけなくても明るい夜がある。面倒なことは愛嬌の柔らかさになる。伝承された未知を肺呼吸として水槽の中を泳ぎ回り、眩いほどの幸福を鳥瞰している。
無数の感覚を表す古い時計にガムが張り付いて、駅の清掃員が腕を捲る。
眠ると疲れる。地面

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山道

いつからどの道を歩いていたのか、遠くの行き渡りから匂いを頼りに時間を増しても素通りできない印象ばかりが、木になっている。山道はどことなく未到着な波が衣服のように空間を覆っている。どこを歩いているのか、街を体内で育み常夏の海に思い憧れ、埃風に夢を溶かし背中を伸ばすのはもうよく知った形だった。ところどころ、会議室が歪んだ長さでメモを残し残し、木は絡まられながら、それでもじっと、雨でも降っているようだっ

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待つ

黒い箱がある。外からは何も見えない、開けることもできない、表面は滑らかで、平坦な場所にしか置かれない、街のあらゆる所にある、金持ちの家にも貧乏の家にも平等に、中で何が起きてるのかわからない、物音もない、静かで、よくできた家電みたい、用途も意味も目的も、道具みたいな雰囲気を出しながらわからしてくれない、嫌いでも好きでもなく、ただ苦手だった。
家の外で、スロウスロウと掛け声がする、何かが速いのだろう。

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