羽ー。軽く愛嬌で縦横無尽にルールを跨ぐ、空気を動かす、手続きなく欲を通す。
不明瞭な信念が根差してあることに自覚さえなく、筒状の現実は伸び伸びと土と空を繋いでいる。
電気をつけなくても明るい夜がある。面倒なことは愛嬌の柔らかさになる。伝承された未知を肺呼吸として水槽の中を泳ぎ回り、眩いほどの幸福を鳥瞰している。
無数の感覚を表す古い時計にガムが張り付いて、駅の清掃員が腕を捲る。
眠ると疲れる。地面では物足りない。
あいころしあい、みようのたみがしちによいてありすよて、たりものくせた、やまもいと、はやまるねくて、きしやかろうみ。
羽を動かしながら、山々を下にして、水平線の上を意識で跨ぐ。
浮遊感が錆落ち、鉄が羽からこぼれ落ちる。生命が膨らむ音が下から波紋状に広まると、上から鉄が降ってくる。
ループしている空の中で概念が疲れ切って重くなり流れているのだった。
羽の周りで、焼かれた踊り場が生い茂った階段と並んでいる。
羽に残った滲まない絵の具を羽は運んでいる。
跨がれた水平線をすぐにまた跨いだ。

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