_タクシードライバーは見た__深夜の公園_のコピー

#タクシードライバーは見た「渋谷の輩」

渋谷にお客様をお送りした。

お支払いをしていると、目の前には別のタクシーがいて
それに乗ろうとしている男がいる。

ヤンキーというような、輩の風貌、
フラフラで一瞬で酔っぱらっているのが分かる。

典型的な乗せると厄介なタイプ。

乗ろうと思ったタクシーに拒否されたようでこちらへと歩いてきた。

お乗せしてきたお客様が降り切るのとすれ違う身動きの取れないタイミング、本来ならば避けるところだったが、こればかりはしょうがない。

すると男は、行き先を聞くまでもなく

男「○○わかる?」

僕「分かりますけどそのあたりは詳しい地域ではないので、」

男「はあ?知らん、〇〇分かるんだろ?」

僕「○○は分かります。その辺りは詳しくないのでまた案内を」

男「いや、いいから、行け」

僕「かしこまりました」

男「俺さっきからタクシー乗れてないからイライラしてるんだよ」

僕「あー、そうでしたか」

男は呂律が回らず、とにかく勢いで喋る。

男「あ、前乗って良い?」

僕「え、あー、まあいいですよ」

男一人しかいない状況で、助手席に乗ることを求めてきた。
断る理由が浮かばず、それを許し
後部座席の寂しいタクシーが走り出した。

「これは殴られるかもしれない」

そんな覚悟を持ってアクセルを踏む。

続く



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?