見出し画像

#タクシードライバーは見た「人だから与えられるモノ」

タクシー運転手の仕事をするようになって、
「タクシーをエンタメに!」
と謳うようになって、
人の与えられる価値というものを考えることが増えた。
それを考えるには体験することが一番だなと感じている。
以前、引っ越しやら何やらでバタバタの日々を過ごしていた時の話。

引っ越しの際、粗大ゴミの処分をするために業者さんを呼びました。
その時に来てくださったおじさん(26歳の僕からするとほぼおじいちゃん)の人柄がとても良くて、なんか良い。
しかも、もともと予定していた処分するリストを大幅越えた数の品を処分してくれた。

僕は、その日までに全てを片付けなければならないのに、
もう無理じゃない?
という荷物の量だった。
(準備しなかった自分が悪い)

それを、何の手続きも無しに、追加費用も無しに処分を受け入れてくれたことにとても助かる思いがあった。

そう思ったとき、感謝の気持ちから費用とは別に、費用とほぼ同額のチップを渡すことにした。
だから通常料金の倍のお金を払ったことになる。

そこには何の躊躇もなく、ただただ有り難く
感謝を伝えたい思いだったのだが

これだ!・・・と、感じた。

相手はお金を求めてはいない
だけど、こっちが払いたいと思えるその人柄、行動。

人は、
何か自分の困ったことを解決することや
楽しいと価値を感じるものに対価としてお金を払うが、それぞれが持つ困ったことや価値観で違いはあるにせよ、
そこに“人”の存在が大きく関わる。

そして、タクシー運転手はほぼ一対一で人との関わりの部分が大きい。

でも、タクシー業界は運転手、利用者、お互いに良い関係を気付ける仕組みになっていない。

運転手の中には、近い距離お客様を「ゴミ」と言う人もいるし
そういった態度を受けてか、
「タクシードライバーはクソ」だと言う利用者もいる。
運転手に嫌な態度をされた子連れのママさんや高齢者の方もいらっしゃる。

それもそのはずで、ドライバーは売上を上げることだけが給料に繋がり生活へと繋がる仕組みになっている。
近い距離のお客様に良い気持ちを持ちにくい仕組み。
それでも、
近い距離など関係なくお客様に親切心を持てる運転手もいれば、
売上が悪いからと無愛想になってしまう運転手もいる。

無愛想になってしまう運転手に対して指摘することは簡単だけど、
その指摘によって人を変えることは簡単ではない。

そして、お客様に対して丁寧で優しいドライバーや、長年事故、違反歴のない運転手がいてもそれが給料に反映されることはなかなかない。
表彰等はあっても、それを知っている利用者は少なく
その運転手を簡単に選べる仕組みもない。

普通に循環するだけで良い方向に進む仕組みになっておらず、
どれだけ丁寧でも、無事故無違反でも、無愛想の運転手と大きく何かが変わることはない。

そんなタクシー業界の近い未来は“人”に懸かっていると僕は思っている。
完全自動運転になる前の未来。
まだ時間はかかる。
ただの移動であるならば、無人の自動運転でも良いが、
何故、人が運転するタクシーに乗るのか?

そこには、仕事だから、作業だからという理由ではなく
“人”だからこそ与えられる価値がある。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?