_タクシードライバーは見た__深夜の公園_のコピー

#タクシードライバーは見た「渋谷の輩」続編

男一人で利用するのにも関わらず、助手席に乗って来た輩。

「これは殴られるかもしれない」
そんな覚悟を持ってタクシーは走り出した。

僕「(あ~、メンドクサイ客を乗せてしまった。しかも助手席)」

男「さっきまで、先輩と飲んでたんだよ、呼ばれて」

僕「あー、そうだったんですか!
(トラブルにならないようにするしかないか~)」

男「もう大変だわ」

僕「へー、大変だったんですね!(どうしようかな~)」

男「・・・」

僕「・・・(暴れなきゃいいけどな~)」

男「あー、酔っぱらった」

僕「お客様はいつもタクシーご利用なさるんですか?」

男「は?」

僕「タクシーにはいつも乗るんですか?」

男「はあ?これなんて読む?」

僕「(聞いてない!)」

助手席前のネームプレートを外し、名前を読もうとしている。
なかなか読める人がいない沖縄の漢字に興味を持っている。

僕「これは、ヨナシロって読みます」

男「全然読めないよ、ははは」

僕「(変なところで笑った!)」

男「読めないだろ、これ」

僕「これは、読めない方多いんですよー。沖縄の苗字で。
沖縄は行ったことあります?」

男「朝まで仕事?」

僕「(また聞いてない!)あ、そうですね、朝までです」

男「芸能人とか乗せるだろ?」

僕「お乗せしますよ~」

男「だれ乗せた?」

男はこちらの質問は聞かないが、やたらと話を振ってくる。
芸能人の話には食いついてきたことで、ここぞとばかりに話した。

芸能人の方には悪いが、男の気を良く保つために
あえて芸能人の名前を出して、テレビの印象との違いや車内での様子を
可笑しく語ると、男は猿のように手を叩き笑ってくれた。

こんな感じでいければ問題なく行けるだろう。

そう思ったのも束の間、男は急に態度が変わった。

続く



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