国債発行の威力

メディアなどには国債発行がまるで悪いことのように書かれています。

結局のところ借金なので、家計と置き換えて考えると確かにプラスのイメージは持ちにくいかもしれません。

ただ国債を発行すると当然民間企業の利益にもなるわけで、果たして本当にネガティブな要素ばかりなのをモデルを使って考えてみました。

国債発行のメリット

国債発行のメリットは大きく分けて以下の二つ

・税収が増える

・GDPが増える

ではこれをモデルを使って検証してみましょう。

以下の前提条件を置きます。

・企業に課されるのは法人税のみで、法人税率は30%と仮定

・個人に課されるのは所得税のみで25%と仮定(実際には所得税は累進課税で仮に年収300万とすると税率10%、住民税はそれに+10%と考えるとかなり保守的な仮定を置いています)

・消費するたびに消費税率10%と仮定

で、試算結果が次の表になります。


画像1

内容を説明します。

まず政府は国債を1,000円発行しました。これはつまり何かに使ったということで、どこかの民間企業の利益が1,000円分押し上げられたことを意味します。ここでまず法人税収が300円発生します。

次にその利益を企業は労働者に100%分配します。そして給与には所得税がかかり、175円の所得税収が発生します。

残ったのが労働者の可処分所得でこれを消費して労働者は生活します。そこには消費税が課されます。52.5円の消費税収が発生します。

で、使った分は当然どこかの企業の利益になるわけで、それに法人税収が発生し……とどんどんスパイラルで税収は増えます。

仮に二回転したと考えると企業に残された利益は約200円。

すなわち800円は税金に取られているということです。

もちろんずっとこのモデルをまわしていけばすべて税金にとられることとなりますが、たった二回転するだけで発行した国債の8割は回収できるのです。

次にGDPの増加効果について考えましょう。図の右側に記載があります。

GDPの増加効果は税収増加より顕著になります。なぜならGDPはお金の回転率のことなので何回転もしているこのモデルではその分GDPは増えるわけです。

図を説明します。

政府が国債を発行した時点で1,000円使っているわけですからGDPは1,000円増えます。

次に企業が分配したお金を労働者が使うわけですからそこで525円増えます。

2回転した時点のGDPの増加量は約1,773円で170%と実に効果的なのが分かります。(発行時点で100%増えているわけですから回せば回すほど増えるのは自明に利ですね)

しかし現実には日本はGDPは増えず、税収も上がっていません。なぜなのでしょうか。

日本の経済が成長しない理由

その要因として考えられるものは下記です。

1、企業または労働者の内部留保になっている

このモデルでは100%使用という前提を置きましたが、現実には将来不安のため誰もが貯蓄をします。

企業は不安から内部留保を増やして従業員の給与が減る

従業員の給与が減るから消費が減る。

消費が減るから企業の所得は減る……

とどんどん負のスパイラルにはまっているのでしょう。

2、欠損が生じている

モデルでは「国債を発行すると企業の利益が増える」と説明しましたが、実は増えないケースもあります。それはもともとが赤字だった場合です。その場合は当然法人税はかかりません。

また過去の欠損がある場合もそのまま繰り越せますので、法人税はかかりません。当然税収も増えません。

税収が増えない原因はおそらくこれが大きい。


結局どうすればいい?

税収やGDPが伸びない原因を述べましたが、理屈の上では国債発行して政府支出が増えればそれは経済にも国にもプラスの影響が出るはず(モデルで示した通り)なのでどんどん増やすべきだというのが私の意見です。

国の方向性としてはずっと緊縮財政が続いていますが、思い切ってたくさんお金を使えば経済が好転するのは間違いありません。(というか国ができるのはそれ以外にないはずです)

菅新政権がどれだけ続くかはわかりませんが財務省の圧力に負けずにどんどんお金を使ってほしいですね。

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