この世は利害関係で成り立っている

ここ最近の政府の動向を見ると改めて思います。

世の中正しいとか間違っているじゃなくて、利害関係に基づいて動いているんだなと。

たとえばGOTOの騒動にしろ正邪で言うなら国の意思でさっさと停止させるのが正しいのは言うまでもない。

(個人的には今回の感染拡大にGOTOがそこまで大きな影響があったとは思いませんが、少なくても一因ではあったでしょう。それならばできることはすべきだったという意味で)

ただ菅首相の決断に時間がかかってしまったのはそこに逆行する利害関係が絡まっていたからでしょう。

献金が欲しい二階さんとか、天下り先を確保したい官僚とか、あるいはほかに表に出てきていない利害関係もたくさん複雑に絡んでいることでしょう。

また一部の学者が主張しているMMTに基づく財政支出の拡大にしても、仮にそれが正しいとしても当面実行されることはないでしょう。

なぜならそれを実行するためには財務省が「財政の健全化」を撤回しなければならないが、それは彼らの利益に反するからです。

財務省には莫大な権限があります。

なぜ彼らが大きな権限を持っているのかというと、予算案の作り方に由来します。

各省庁は次年度にやりたいことをまとめて、ボトムアップのような形で予算案を策定します。それを財務省に承認してもらうことで次年度の予算として国会に上げることができるわけですが、逆に言うと財務省はここでNoをいうことができるわけです。そしてそれが財務省の権限の源になっているわけです。(各家庭でお財布のひもを握っている奥さんに家庭の権限が集中している様を思い浮かべていただけるとイメージしやすいかと思います)

で、ここでNoを言う一番手っ取り早い理屈(要するにいちゃもん)が「財政の健全化」なわけです。

「赤字だから予算を削れ」

とても分かりやすいですよね。

MMTが正しいとしたらこれが言えなくなってしまう。

それでも財務省に権限が集中する構造は変わらないでしょうが、いちゃもんつけづらくなるのは財務省としても困るわけです。

だからいくら騒いでも実現はしないです。(ほかにも利害関係の絡みはありそうです。)

政策のことなら政治家を変えればいいけれど、財務省の官僚を変える手段はありませんからね。政治家が変えようと介入してもつぶされるだけでしょう。

利害関係の絡みで世の中を見ていると全く違う見方ができます。

たとえば最近騒いでいる「桜を見る会」にしても正邪で考えるといろいろ見間違うのではと思っています。

正邪で見ると「公金を私的に使うなんてけしからん」となりますが、最前線でたたいているマスコミや野党の中にそんなことを思っている人は誰もいないでしょう。

誰も彼もそれが正しいことだからたたいているのではなく、利益になるからたたいているのです。

そう考えるとまた違った思惑も見え隠れします。

竹中平蔵がベーシックインカムについてした発言にしろそうです。(そもそもあれはベーシックインカムではなく負の所得税ではないかと思ったのですが、世の中的にベーシックインカムということで話を進めているので)

ベーシックインカムが正しいから提案したのではなく、それが彼の利益につながるから提案したのです。

そう考えれば彼、もしくは彼にそう言わせた黒幕が次に狙っている市場が見えてきます。

そう考えるとちょっとむなしくなってきませんか?

希望のない国家を変えるには

この状況にはいろんな人がいろんなことを言っています。

ある人は誰か自己犠牲の精神を持った高潔な人が独裁して国を変えてくれることを願っているでしょう。

ある経済学者はyoutubeで正しい国家観と貨幣観をみんなが持つことが解決策になると熱弁しています。

個人的にはそれらはどちらも一時しのぎにしかならないのではと思っています。

なぜなら仮にうまくいって一時的に状況がよくなっても、利害関係と正邪が一致しない限り必ず利害関係に基づいて自己の利益に誘導する人は現れるからです。

重要なのは利害関係と正邪が一致するシステムを作り上げること。

利害関係にのっとった行動をとっていれば、自然と正しい行動をとるようになる。

そんなシステムを作ることです。

有史以来人類はそんなシステム作りに挑戦してきて、未だ完全なものはできていません。

で、一定の条件下では利害関係と正邪が同じ方向を向きますが、それ以外の時は別の方向を向くことになる。

そんな時に参加者の善意に頼っているのが今の世界に存在するあらゆるシステムの共通点です。

参加者の善意を前提としたシステムは、期間の長短はあれ、必ず崩壊します。

これまではその節目には大体戦争が起こって、力技で延命してきたわけですが、現在では科学技術も行きつくところまで行って戦争も起こしにくくなってきました。

力技での修正がしにくくなっているので、今だからこそ利害関係と正邪が完全に一致するシステムが必要なのです。

それがなんらかの社会的な合意によるものになるのか、それともテクノロジーにより実現されるのかわかりませんが、次世代に何かしらヒントのようなものくらいは残したいなとは思っています。

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