山田宗樹「嫌われ松子の一生」

女性にとっては吐き気がするような本であることは最初に伝えておく。

映画「嫌われ松子の一生」を観て、
「私だ!」と思った。
特に「なんでよ!」って叫ぶ場面なんか。

これはアダルトチルドレンの物語だと個人的に思っているのだけど、変わってゆく中谷美紀さんの演技とミュージカル調なのが私は気に入った。

そこで原作も読んでみようとなったわけだ。
実際に手に取ると重くて重くて、数ページ読んではやめた。
特に上巻は理不尽なことばかりが起きる。

でも下巻(もエグいけど)の最後の最後に、想像したことがある。
死ねば全て終わるのだ。楽になれるのだ。
思ってくれる人も少なからずいる。

それでも松子は幸せだったのではないか。
好きな男を愛して、愛して、酷い目に遭っても。
誰も愛せなかった人生よりも松子はもし生まれ変わっても愛する人生を選ぶような気がする。

私の男友達はかつて、
「姐さん(そう呼ばれている)を松子のようにはさせない」
と言った。
言った、というだけ。
それでも彼は映画版を見て吐くほど泣いたそうだ。

人を選ぶ話だと思う。しかしこれが現実だ。
読み終わった後、私はしばらく何も出来ずにいた。

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