山羊座の結晶 ーアンリ・マティス 【ホロスコープから見る芸術家のひとかけら④】
前回はシーレでした。
否応なしに、内面の葛藤や不安を突きつけてくるタッチや色彩。
鑑賞者もそのうねりの中に入ってしまい、見ていて苦しくなるようなことも。
ですが、今回は打って変わって、
「安定した、純粋な、不安がらせも困惑させもしない美術」を、求め、
「 労苦に疲れ果てた人が、私の絵の前で、平安と休息を味わうこと」を、願い、
自らの作品が、「気持ちの良い肘掛け椅子のようなものでありたい」と願った、アンリ・マティスです。
はー、気持ちのいい肘掛け椅子。
いいですね〜。
座りたいですよね〜。
◎アンリ・マティスという人
そんな癒し発言のマティスさん。
簡単な解説はこちら。
「色彩の魔術師」なんて呼ばれています。
気持ちのいい肘掛け椅子を作る魔術師・・・なんかいいですね。
画家でタロットを作るなら、魔術師は肘掛け椅子を作るマティスに決まりですね。
・・・と、話がそれました。
「気持ちのいい」といっても、マティスの絵はふわふわ要素はありません。
ゆるキャラも猫も出ません。
(金魚はよく出てくるようです)
どちらかというと、色彩は極彩色。
色の組み合わせも、調和的というより相反したものが多く、ぐっとこちらに迫ってくる強さがあります。
そもそも、「フォービスム」=「野獣派」ですしね。
猫じゃなく、ライオンです。
さて、そんなマティスさんのどこに、「気持ちのいい肘掛け椅子要素」があるのでしょう。
◎マティスのホロスコープ
山羊座♑️に個人天体(太陽、水星、火星)が集まっています。
とても実直、真面目な人という印象です。
そして、社会的な目的のために頭を使い、個人としてできることを徹底的にやり遂げる強さを感じます。
(もしアセンダントの獅子座♌️の位置を信じるとするならば、ルーラーは太陽。さらに山羊座♑️が強調されます)
実際、マティスの制作に対する姿勢は、真面目そのものだったようです。
デッサンをするときは、対象を真に理解したと思えるところまで何度も(マティスの言葉を借りると「精魂尽き果てるまで」)繰り返したり、
形や色彩についても、自分の表現したいものを生涯かけて追求していきました。
この、積み上げていく感じ。
山羊座♑️を感じますね。
また、名門美術アカデミーの入試に何度落ち続けても、正式入学するまでの5年間ずっと諦めずに挑戦したとか。
不屈。
山羊座♑️を感じます。
また、
というように、伝統から学んでいったというところも、山羊座♑️の水星らしい学び方だなと感じました。
で、ですね。
そんな山羊座♑️。
なんでそんなに頑張るかというと、やはり結果に重きを置いているからでは、と思うのです。
目指すべき山がはっきり見えていて、それが高かろうが険しかろうが、そこに実際に登りつくために日々を費やす。
だとすると、マティスにとっての山の頂はどこだったのか。
それを成し遂げた作品はあるのでしょうか。
◎マティスの到達点 ー「気持ちのいい肘掛け椅子」に相当するもの
それについては、マティス自身がこう言っています。
《ロザリオ礼拝堂》(1951年 )
マティス、最晩年の作品です。
東京都美術館で、
2023年4月27日(木)~ 8月20日(日)に行われている《マティス展》のサイトには、こう解説されています。
私は、この礼拝堂を画像でしか見たことがありませんが、「気持ちのいい肘掛け椅子要素」をじっくりと堪能できました。
単純化された線、厳選された色彩、色彩を浮かび上がらせる光、その空間。
全てが心地よく、落ち着くのです。
徹底的に目的地を目指し、一見泥臭ささえ感じる山羊座♑️らしいマティスの制作の姿勢は微塵も感じられません。
静かにそこにあって、居るものの心を溶かしてくれるような作品です。
自分の(山羊座♑️的)情熱はひけらかす必要はない、ただ、目指すものを表現しただけだ。
とでも言っているようです。
◎おわりに ージャック・マリーの言葉
シスター・ジャック・マリーは、晩年の病身のマティスを側で支えた人です。
(修道女となる前、看護士のモニカ・ブルジョアであった頃から、マティスを支え続けてきました)
礼拝堂を作り上げたマティスに、主治医が語った言葉が、彼女の手で残されています。
この言葉を見た時、もしかしたら山羊座♑️は、作品に自分自身を表現するのではなく、目指す作品の方に身を投じるのではないかと思わされました。
その姿勢こそが山羊座♑️であり、
だからこそ、その作品は個人的なものではなく、長く長く、普遍的であり続け、これからも多くの人に残っていくのかもしれません。
◎現在見られるマティス展
東京都美術館で現在開かれている「マティス展」では、ロザリオ礼拝堂の4K映像が見られるそう。
一日の光の移ろいを感じられるようです。
体験してみたいです…
→終了しました!
☆今はこちらが見られます↓↓↓
切り絵にフォーカスした展覧会!
なんと、ロザリオ礼拝堂が一部再現されて、体感できるらしいですよ。
すごい!!
◎おまけ
マティスのホロスコープはほかにも、移動の多かった生涯や、さまざまな画家たちとの活発な交流などが現れていておもしろいです。
旅行や人々との交流から、制作のインスピレーションを得て変化していくさまは、太陽と水星・天王星・海王星のTスクエアの流れが生きている気がします。