2022/12/13 エリザベート感想
もう、この真っ赤な天井が最高に御園座って感じ。
中はもっと赤いんだが。
CAST
エリザベート:愛希れいか
トート:古川雄大
フランツ:佐藤隆紀
ルドルフ:立石俊樹
ゾフィー:香寿たつき
ルキーニ:黒羽麻璃央
少年ルドルフ:井伊巧
※界隈のお友だちがいないし感想も漁らないので、用語がわからずタウタ語で話します。
※注釈が必要そうなところには補足を入れました。
古川閣下はとても人間だった。常に不安そうで泣きそうな顔してるように見えたんだが……大丈夫ですか。帝王みがほぼない。もう少しぐいぐい行っていただいても構いません。エリザベートに対してちょっと腰が引けてるように感じた。肉食系閣下が大好きなので、全体的にもっとガッと行ってもらえるとうれしい。
そして、ものすごく空虚な印象を受けた。子ルドに興味がない。「ママには聞こえない♪」まで振り返りもしない。「私が踊るとき」にぐるっと回って来ても民衆を見てない。最後にエリザベートをもたれさせて、暗転前こっち向いたときになんの表情も読みとれなくて動揺した。かと言ってエリザベートに並々ならぬ熱量を傾けている様子もなく……初めて見るタイプの閣下だった。
もぐもぐタイム――閣下がターゲットに触ったり手を伸ばしたりしたあと口元隠す仕種をこう呼んでいる。魂を味見してるように見えるので――も唇にちょっと触れるだけで、すごくおしとやか。
最後に観たのが2016年なんだけど、あれから閣下の衣装変わって動きにくくなった? ベロアとか分厚そうな布が多いなと思った。「最後のダンス」と一幕最後にエリザベートの後ろから出てくるとき立ってたし、「死にたいのか?」って台詞のときも2016年より膝の角度がゆるかった。可動域が狭い?
古川閣下高音きれいだし声量もあるから、もっと声張ってほしかった。「愛のテーマ」はとてもよかったけど、「私が踊るとき」も「闇が広がるリプライズ」もなんとなく物足りない。閣下にはがつがつ歌ってほしい。
ところで白閣下――悪夢以降の白い衣装の閣下――の胸元開きすぎでは? なんのサービスなんだ。
なぜかすごく存在感が薄い(?)んだけど、どういうことなの。「闇が広がるリプライズ」のあと、「皆さん、殿下からお話が」って台詞からルドルフと二人で並ぶまでめちゃめちゃ人々にとけ込んでた。同じ回観てたヅカオタの先輩が「あえて気配消してるかも」って言ってて、その解釈もありだと思った。死は見えないだけで常にそこにあるって意味かもしれない。
「今なら救えるハプスブルク♪」のとき心底切ない顔してたから、やっぱ好きな女の子の嫁ぎ先が壊れるのは悲しいのかなって思ったら、「救世主になれる♪」あたりでにやにやしてたから、閣下だなぁと思った。顔に出過ぎです、閣下。素直って言うか、幼い? もしかして子ルドにも民衆にも興味がないのと関係ある?
「私が踊るとき」、歌いだし直前までマイクに髪の毛引っかかっててどうするんだろうって思ってたら、エリザベートの方へ歩いていくとき客席に背中向けながらそっと取ってた。
子ルドに「猫を殺した」って言われて「えっ?」みたいな顔してたのかわいかった。猫好きなのかな。銃口向けずにピストル差し出す演出になったのは、何かへの配慮? 子どもに銃口向けるのはさすがにまずい? 撃とうとする演出すごく好きだったから残念。
「闇が広がるリプライズ」のサビ、閣下が上歌っててびっくりした。いつから? 二番以降下パートになったけど、今回一番驚いた。
冒頭でわざわざピストル出して見せるのやりすぎだと思ったんだけど、自分が小説で書いたらやるわ。子ルドにとって閣下はイマジナリーフレンドとの区別がつかないはずだから、空想と現実に線を引くにはアイテムが必要だと思う。わかっていて観ている身としてはくどく感じるけど、説得力はある。でもズボンのポケットに入れとくことはないのでは? ベルトの背中にホルスターつけるとか、マントの上の方にポケットつけるとか。わりと動く曲なのに、邪魔じゃないのかな。
カサカサのとき――「闇が広がるリプライズ」で座り込んでるルドルフに四つん這いで近づくとき――の勢いと距離の詰め方がよかった。詰めすぎてちょっと引いてた気がしたけど、もっとガッと行ってもらって構わないので。
ルドルフのお墓から出てくるシーンが美しかった。両手をかけてすごくのけぞりなら頭を出すの最高だった。これがブルーレイだったら百回くらい戻して見直したい。あごの下と首が美しかった。
ルキーニにわたすナイフがベルトの後ろにあるの、初めてちゃんと見た。あのシーン、何回観てもドキドキする。落とすんじゃないかって。
カテコでフランツとひそひそしてたのかわいかったけど、あの二人のひそひそは台本があるんだろうか。(2016年のホワイトでもひそひそしてる)手の振り方もかわいかった。指開いて振ってた。
エリザベートとの声のバランスがよかったと思った。愛希エリザの声質ちょっと硬いから、ふわふわやわらかい歌い方する古川閣下と合わせて聞くと収まりがいいなって感じた。
まとめると、古川閣下は繊細でおしとやか。たぶんエリザベートに一発ビンタ食らったら黄泉の奥に引きこもって出てこなくなる。思い返すと、全面的にかわいい。かっこよくないわけじゃないけど、かわいい。
佐藤フランツは安定していた。かっこいい。知ってた。始終かっこいい。知ってた。ちゃんと年取るから佐藤さんはすごい。ダンスのシーンはほぼないけど、歌上手だし、演技もきちんとしてるし、堅実な役者さんだと思う。
愛希エリザベートは、わかりやすく強いエリザベートだなと思った。物理的に強そう。大臣たちを一発ずつ殴っててもおかしくない。褒めてる。強い女性ではなく、強い人間って感じがした。お顔もキリッとしていてお美しい。姐さんとお呼びしたい。一生ついていきたい。
「私が踊るとき」の、閣下が差し出した手に手を置こうとして避けるの、ほとんど握られそうなところをするっと逃げるのがかっこよかった。
立石ルドルフめちゃくちゃお芝居うまかった。自殺前のめそめそ泣いてママにすがるシーンの表情とか、声の震えとか、ものすごくうまかった。歌もうまかったし、自殺の前のダンスもかっこよかった。リフトからの後方一回転すごいなぁ。怖くないのかな。
黒羽ルキーニはひたすら狂気だった。今までのルキーニって、正気の上に一枚狂気をかぶせてた感じなんだけど、黒羽ルキーニはその一枚をめくってもめくっても狂気って感じで正直怖かった。たぶん閣下の方が似合う。歌は普通にうまかった。たまに力みすぎるのか声が裏返ってたけど、狂気だからこれでいいんだなって思った。
今回閣下とフランツがおとなしくてルキーニとエリザベートが強かったから、思い返すと面白い組み合わせだったな。
ダンサーズをひたすら見ていた。かっこいい。かわいい。ちょっとずつ髪形違うのがいい。髪形的には左の側頭部に編み込みあるのが好き。地味にお色直しがあるのもよい。背中ががばって開いてて背骨のアンダー着てる服が一番好き。よく見たら腕も穴が開いてて腕の骨が見えた。「私が踊るとき」のマントの内側に黒い羽がいっぱいついてるのかっこよくて好き。パパお散歩――パパの魂がエリザベートに会いにくるシーン。――の上裸も嫌いじゃないけど、着ててほしいなって思う。ゾフィーお迎えの片方だけの翼はどうやってつけてるのかな。
花嫁衣装の着付けかわいすぎて大好き。せっせせっせと着せてるのがよい。布を持ち上げて、下ろしたときに頭までちゃんと下げてるのすごいなーって観てた。お洋服拾ったり閣下下ろしたりするだけじゃなくて、舞台装置の階段動かしたりもしてて、ほんとに働き者。大好き。
パパお散歩時に停止時間長くて指先までぴんと伸ばして止まってて、すごいな、プロだなって見てた。あと、ジャンプが高い。動きが速いからオペラグラスで全部追えないのが残念。カテコもかっこよくて好き。めちゃめちゃ拍手してしまう。
メモスタンド売ってたから迷わず買った。会社でメモ持ってもらってる。私のデスクでダンサーズがお仕事してくれる。うれしい。
グリュンネ伯爵、途中でめがねなくなってたけど、あれ前からそうだったっけ? シュバルツェンヴェルク侯爵がロシア云々主張してる間、密偵とひそひそしたり冷笑したりしてるのすごい好き。表情の演技が細かくてずっと見てられる。
番狂わせのときにお茶断ってたの初めて知った。立ち姿がかっこいいし、動くと上着の裾がひらってするのも好き。
ゾフィーに荷担するけど、ルドルフのお葬式で泣き崩れるベエリザートに駆け寄ろうとする侍女たちを止めたりして、エリザベートにも一定の配慮があるのがいい。
ブルーレイでメインキャストしこたま見てるせいか、だんだん細かいところばっかり見るようになってしまった。席が二階の左端だったから、角度がついて色々裏側が見えたの楽しかった。斜めに上がる台の階段とか。取り外し式? ルドルフ入れるときは見当たらなかったし、ずるっと落ちるから階段あったらああはいかないと思うんだけど。
席が左隣のお姉さんはたぶんルキーニ推しだった。「ミルク」の最中ずっとオペラグラス覗いてたから。右隣りのお姉さんは間違いなく閣下推し。私とオペラグラス上げるタイミングがまったく同じだった。
次は博多座で井上閣下。楽しみにしてる。
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