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牡牛座として生きてゆく

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牡牛座として生きていくと決めた私の、有事の選択や、これからのライフスタイル。五感に長けた牡牛座としての生態や、お気に入りの物をしつこく愛でる習性についてなど。
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#難病

牡牛座として生きてゆく

選択肢の中から、どれかひとつを選ばなければならないとき。理屈的に正しそうなものと、なんとなく気になるもの。どちらを選ぶべきか、いつも迷って動けなくなる。 何年か前、たまたま手に取った鏡リュウジさんの著書『牡牛座の君へ』の中に、その答えはあった。他にも人生で迷いがちないくつかのことに、指針と染みるような心地良い言葉が添えられている。 この本と出会ってから私は牡牛座として生きてゆこうと決め、『牡牛座の君へ』は聖典となった。   * ブッダ、アドラー、ポジティブ、感謝、日頃

父の采配~難病手帳編~

毎年6月、7月は、難病の医療費受給者証の更新時期である。事前に保健所からお知らせが来るので、それに従って書類を準備する。病院に個人調査票を依頼したり、役所で課税証明書を取ってきたり。 どちらもタダではないが、受給者証は私にとって大事な通行手形のようなもの。毎月の通院で病院と薬局に見せるほか、救急搬送されるときに、隊員さんへ病名を伝えるためにも使っている。 ところが数年前から私は軽症に分類され、基本的には受給者証を持つ資格がなくなってしまった。――と言うと私の母は「良かった

牡牛座の居場所

ここは私の居場所ではないかもしれない、と初めて感じたのは、19歳になったばかりの春だった。私は仙台の専門学校生になりたてで、都会の学生生活を楽しんでいた。 学校は駅近くのビルのような建物。授業中――たしか9階の教室だったろうか。ふと窓に目をやると、そこから見えるのは駅周辺に乱立するビルの群れだった。 それまですごした岩手の小、中、高の校舎の窓から見える景色は、広い空、校庭の桜の木、どこまでも続く緑の山々、その合間からぽつんぽつんと見える民家。 ――だけどここの風景は、風