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生きる力

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戻ってきた実家での田舎暮らし。里山の風景。染みるご近所付き合い。親類のありがたみ。母から学ぶ農作業。できなくてもいい。知っておきたい。
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#実家暮らし

「あなたは家を守る人」

横浜中華街で手相だか生年月日だかを見てもらったときに、 「あなたは家を守る人」 と言われたことがある。 当時の私は、結婚、同居が決まっていたというタイミング。 「どっちの家のことでしょうか」 質問してみたが、 「あー、んー、だからね、そういうことよ」 返ってきたのは、なんだかよくわからない内容。 次男の嫁なのにわざわざ同居するわけだから、「嫁ぎ先を守る」なのだろうと、そのときは解釈した。だが実家も近かったことから、「嫁ぎ先と実家の両方を守る」なのだろうとも思うように。 離

はたしてあの結婚生活は「ただの無駄な時間」だったか

時々思う。あの13年間の結婚生活は、私にとってただただ無駄な時間をすごしただけだったのだろうかと。何も得ずに終わったのかと。 否。何も得なかったわけではなかった。 そのことを、母が教えてくれた。 母に言われてわかったのだが、知らず知らずのうちに私は、葬儀や法事関連の作法をインストールしていたらしい。 実家で暮らし始めて、まもなく父を失い、コロナ禍で姉や親戚が来られない状況だったあの頃、それは効力を発揮していたのだろう。葬儀から数日後、私は母から感謝の言葉をかけられた。

生きる力

これからの季節は草との戦いである。私は免疫系の持病の関係であまり無理ができないから、毎日ちょっとずつ、カマで手刈りしている。 父の葬儀からやる暇がなく、のびのびと育ってしまった畑周りの草。母が出かけているから、今日は私だけ。将来ひとりになったら、こういう感じで『リトル・フォレスト』やるんだろうなぁ……などと思いながら、せっせとカマを振った。 大きいだけの田舎の家と畑。将来私が年老いたとき、ここを管理しきれるだろうか。母が元気なうちに、同じことを私もできるようになっておかな