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生きる力

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戻ってきた実家での田舎暮らし。里山の風景。染みるご近所付き合い。親類のありがたみ。母から学ぶ農作業。できなくてもいい。知っておきたい。
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2024年1月の記事一覧

1月27日(土)雪原の足跡図鑑

久々にたっぷり雪が降り積もったのは、水曜日の夕方からのこと。雪は困るが、あまり暖かい冬というのもかえって不安になる。 しばらくぶりに現れた雪原に、縦断する小さな足跡。 「お、タヌキか? いや違うな、キツネだ」 足跡は美しい一直線を描いていた。 鮮明な爪の跡に『もののけ姫』のアシタカよろしく「まだ新しい」などとつぶやく。 向こうにも小さな足跡。一直線ではない。あちらがきっと、タヌキだろう。 ヒヅメの足跡はない。 夏にはよくカモシカを見たし、我が家の畑は通り道のようなのだ

冬至過ぎの朝

午前5時50分。 冬至はとうに過ぎたというのに。 まだ夜は明けず、たっぷり真っ暗闇。 まだ眠そうな10歳の愛犬を連れて、散歩コースの畑へ出る。ここまで来れば、愛犬もウキウキと軽い足取り。 かと思えば今度は枯色の草むらへ鼻を押し付け、タヌキの残り香でも追っているのか。 愛犬を待つ間、私は視線を上げた。 ご近所さんちを見る。 これがすっかり癖になった。 庭のセンサーライトがついた。 あちらも今から出発らしい。 ほどなく、庭から小さな明かりが、トントントンとおりてきた。目