マガジンのカバー画像

生きる力

52
戻ってきた実家での田舎暮らし。里山の風景。染みるご近所付き合い。親類のありがたみ。母から学ぶ農作業。できなくてもいい。知っておきたい。
運営しているクリエイター

2021年8月の記事一覧

結界を張るつもりで草刈りをする

カマで手刈りしていた頃に思った。 草刈りって、結界張ってるみたいだなと。 草を刈り倒し、天日で乾燥させ、熊手で集めて、野焼きしたり、しなかったり。草刈りしたところとしないところの境目は明らかだ。そうやって手を入れて、私たち人間と獣たちのすみかを分ける。 もちろん獣たちには、そんなこと知ったこっちゃないだろう。見た目を気にしないのなら草刈りなんてしなくてもいいと言う人もいる。 だけど私としてはやっぱり、きちんと草刈りされていた方がいい。草が伸び放題だと、獣たちが姿を隠して

見習い農耕民族、草刈り機を装備する

この4ヶ月の間に変わったこと。 母は、火が怖いから野焼きはしないと宣言していたが、ご近所さんからコツを教わり、やるようになった。 私も、怖いから使わないと決めていた草刈り機(刈り払い機)を使うようになった。しかも新品。私の専用機。 常々母が「危ないから使わせたくない。あんだはケガしたらただじゃ済まない体なんだからダメだ」と免疫異常体質の私に言い聞かせてきたのに、「店さ見に行って、軽いのあったら使ってみっか?」と言い出したのには驚いた。 それだけ母が、この夏一人で草刈り機を

【地元旅せんまや】今日も一日、つつがなく

車が一台も通らない道路を運転していたら、リスが横断していた。渡りきるのをのんびり待つ。 商店街では、横断歩道じゃないところから腰の曲がったおばあさんが出てきた。ゆっくりゆっくり、地面を見ながら道路を渡っている。 私の車の前を走るタクシーがそっと止まり、私も続いてそっと止まる。 おばあさんが渡りきるところで、他に車も走っていないから、タクシーがやんわり大きめに避けながら発進した。私も後に続いて、やんわり発進する。 おばあさんはゆっくりゆっくり、歩道を歩き始めていた。