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一話完結小説/創作日記

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一話完結小説の本棚。創作活動についてや、作品にまつわる話も。
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#小説

夢中で書いたものほど、書いたときの記憶がない

私の記憶では、初めて書いた小説はたしか、20代中頃か後半だったと思う。 子供の頃、「将来なるなら、マンガ家か小説家のどっちかだなぁ」などとえらそうに思っていて、「絵描き期」と「物書き期」を交互に繰り返していた。とはいえ、どちらかというと「絵描き期」の方が多く、専門学校でPhotoshopに出会ってからはさらに加速した。 だから小説家への憧れはあったものの、学生の頃、実際に小説を書き上げたという記憶はなかった。 ――という話をしたとき、同郷の親友であり、「和楽風天」の相方

文学フリマ岩手8 出店します

6月18日(日) 文学フリマ岩手8に出店します。 サークル名:和楽風天 ブース:ウ-13 ・Webカタログはこちら ・文学フリマ岩手8のご案内はこちらをご覧ください ■新刊 『体験記 体の調子を整える』 マガジン『体の調子を整える』を中心に8編収録。詳細はWebカタログをご覧ください。 内容に大きな変更はありませんので、本でほしい方向けです。 新刊制作の話↓ ■既刊 『太陽のヴェーダ 先生が私に教えてくれたこと』は、本編全5巻セットで販売します。 バラ売りはし

『ワラビアンナイト』とエブリスタの話

一話完結の、異世界に暮らす人々の日常を綴った短い物語、『ワラビアンナイト』。 「和珪」の「アラビアンナイト」で『ワラビアンナイト』という、安易なシリーズ名。 先日noteに4話分投稿したが、もともとはエブリスタで公開していた作品である(エブリスタをやめたわけではない)。 ■note版 ■エブリスタ版 一話完結にした理由は、この数年でエブリスタに「休載」のシステムができたから。これは「連載中」に設定した状態で90日以上更新がないと、自動で休載マークが表示されてしまうとい

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【小説】短編集サクラサク(2/4) Eの改造

短編集サクラサク 2.Eの改造 今度の仕事は事務職。 期間は3ヶ月。 さて、職場はどんな感じかな。 担当部署での朝礼で、課長がよく通る声で私を紹介する。 「今日から配属になった川村景子さんだ。3ヶ月だけだが、みんな色々教えてあげて」 「川村です。今日からよろしくお願いします」 月並だけど一発目のあいさつというのは、やっぱり大事だと思う。明るい表情と、聞き取りやすい声。これだけでも意識すれば、直後のなじみ具合が格段に違うものだ。 あちらこちらから明るい声で、よろしく、

【小説】短編集サクラサク(1/4) おりこうカード

何年か前に書いたものですが。 春なので、春っぽい小説を。 短編集サクラサク 1.おりこうカード 引越しの準備をしていたら、ハガキサイズのカードを見つけた。 カードいっぱいのマス目には、花丸のスタンプがずらりと並んでいる。ラジオ体操のカード……とも違う。 ひっくり返すと、ひらがなで書かれた俺の名前と、「おりこうカード」というタイトルが目に飛び込んできた。 記憶の湖面に、かすかな波紋が広がった。 ひらがなで書かれた「さくらぐみ」―― そうだ、これはたしか保育園の年長のと