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一話完結小説/創作日記

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一話完結小説の本棚。創作活動についてや、作品にまつわる話も。
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#南部鉄器

【一話完結】ワラビアンナイト コトノハの民

ワラビアンナイト コトノハの民 大陸の南側にある港町は、いつも活気に満ちていた。海には商船が並び、陸には市が立つ。 そこへ―― 「馬が暴れてるぞ!」 「逃げろー!」 人々の叫び声と悲鳴、そして馬のいななきが響き渡った。 市で物色していた商人イシャンの耳にも、それは届いた。逃げろ、という叫び声と、露店の品や木箱が蹴散らされる音が迫り、やがて人々が散る中から一頭の馬が姿を現した。 馬はイシャンを横切り、外衣をまとった一人の女めがけて突進していく。 「あんた逃げろ! 馬が……

【一話完結】ワラビアンナイト 都の露店街にて

ワラビアンナイト 都の露店街にて 大陸の中央にある都は、東西の交易の中心地でもあり、朝からにぎわっていた。露店がひしめき、大路には珍しい民族衣装を着た者たちが行き交っている。 今年十一になった明凛は、大路から離れるように露店街のはずれのはずれへと向かった。そこは大路と違って場所代がかからない。明凛のような子供でも、好きに露店を張ることができた。 そのかわり割り振られる区画は狭く、場所取りも早い者勝ち。質の悪いものも出回るため、寄り付く客の数も大路には劣る。 「ここ、空

【一話完結】ワラビアンナイト 西の釜師

異世界に暮らす人々の日常を綴った短い物語たち。一話完結です。 ワラビアンナイト 西の釜師 東から西への長い旅。 男の髪とヒゲは旅の間に伸び、白いものもまじり始めた。 目的がある旅ではない。 ただ祖国にしがみつく理由がなくなっただけのこと。 やがてたどり着いた地は、文化も、そこに住む人々の容姿も、祖国のそれとはまるで違っていた。 それなのに、なぜだ。 この地に、祖国の技がたしかに息づいている。 男の祖国は、優れた鉄器と、それを作る釜師がいることで名を馳せていた。その