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一話完結小説/創作日記

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一話完結小説の本棚。創作活動についてや、作品にまつわる話も。
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2024年1月の記事一覧

初対面の人と放置されたときにすること

初対面の方と二人きりになると、何を話すべきか、あるいは何も話さないべきか、間が持たずに悩むことがある。いつまで続くかわからない、二人きりの時間。――気まずい。 こういう場合私は、せっかくだから「取材」をすることにしている。その方は私の知らない人生や職業を経験しているはずだから。 「そうだ取材しよう」と思いついたのは、たしか前に勤めていた会社で、外部から監査員を招いたときのこと。監査がすべて終わり、帰りのタクシーが来るまでの待ち時間、私と監査員のおじさまが二人きりになったの

忘年会へ行ったら「小説を書く人に100の質問」状態になった話

去年の暮れ。 私は勤め先の合同忘年会へ初参加してきた。 バツイチ独身子供なしの私に、うっかり「子供何年生だっけ?」とか聞いた挙げ句に気まずい顔されるのが嫌で、「独身指輪」をつけての参加。 でも結局面倒くさくなり、 「〇〇で5月からお世話になってます高橋和珪です。〇〇出身、44歳。バツイチ独身子供なし。愛犬はゴールデンレトリバーと日本スピッツ。学生時代はバレーボーラー。20代で病を得てUターン」 自己紹介で全部放出してきた。 ザワッとしてたけど、(多分)ウケてる寄りのザワつ

夢中で書いたものほど、書いたときの記憶がない

私の記憶では、初めて書いた小説はたしか、20代中頃か後半だったと思う。 子供の頃、「将来なるなら、マンガ家か小説家のどっちかだなぁ」などとえらそうに思っていて、「絵描き期」と「物書き期」を交互に繰り返していた。とはいえ、どちらかというと「絵描き期」の方が多く、専門学校でPhotoshopに出会ってからはさらに加速した。 だから小説家への憧れはあったものの、学生の頃、実際に小説を書き上げたという記憶はなかった。 ――という話をしたとき、同郷の親友であり、「和楽風天」の相方