ルミ

神奈川県在住。くるりと浦上想起さん、ヒグチユウコさん、夏目友人帳と猫と鳥、怪奇幻想・推理小説が好きです。

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神奈川県在住。くるりと浦上想起さん、ヒグチユウコさん、夏目友人帳と猫と鳥、怪奇幻想・推理小説が好きです。

最近の記事

『麦の海に沈む果実』黎二が暗誦する詩を読んで

久しぶりに大好きな麦の海を読んでふと思ったこと。(しかも三月に『三月は深き紅の淵を』から再読中!) 第九章で、黎二が理瀬に見せた詩『麦の海に沈む果実』この世界観は同じく恩田陸先生の『愚かな薔薇』に通じてる!!と嬉しくなりました。 麦の海の物語の中で特に美しい場面で、お気に入りの『愚かな薔薇』の世界が蘇り、ひとり胸が熱くなってしまいました☺️ どちらも大好きな物語なので、暫くすると読みたくなります。

    • 夜明けの花園(ネタバレ無し)

      花園。理瀬シリーズを読書中はさまざまな花を思い描くことができるけど、美しいだけではなく、その花はずっとその場で佇みながら、じっと見続けている気がして「何もかもお見通しなのよ」という視線を背後から感じる、禍々しさみたいなものを感じられるのも理瀬シリーズの魅力。清らかだけではないという魅力。 表紙だけでなく、それぞれの話の絵も美し過ぎる。 ヨハンと校長それぞれのエピソードのおおまかなところは、初めて読んだ時からずっと忘れずにいたな。聖の初めて明かされたエピソードも衝撃的だった。

      • 恩田陸『愚かな薔薇』を読んだら『浦上想起』を聴いてほしい

        小説を読んでいる時、描かれている景色が脳内にバンバン広がっていく方は多いと思っていて、 そのイメージされる景色の中に自分も実際にいるかのような、温度や湿度までも感じてしまうくらい没頭してしまえる良さも、私が恩田陸先生の小説を大好きな理由でもあるのですが、 愚かな薔薇を読みながら、登場人物が感じている感覚までもめちゃくちゃ共感して「ああ、この感動は浦上さんの音楽を聴いて私も色彩豊かな景色が広がった時と同じだな」ってすぐ思いました。 P255からの、浩司が茶室で感じている快楽の

        • 世界でいちばん透きとおった物語(ネタバレ有り)

          「前情報を入れないで読んで下さい!」ということなので早く読まなきゃと思って早速読みました! 読みやすくて情景も浮かびながらどんどん引き込まれていき、中盤で「文章がページを跨がないから読みやすいのかな〜」なんて呑気に楽しく読んでましたね。2巡目読んで気づく「手作りの原稿用紙の表現、左右対称とかネタバレだったじゃん!」 ミステリ好きだけどそんなにたくさんは読んでない私でさえ「探してる原稿って、今まさに読んでるこの小説だろうな」と気づきました(ちょっと意味も違うけど)。でもそんな

          怪談小説という名の小説怪談(ネタバレ有り)

          高速怪談 なんと言っても『堀さんの話』から、物語のスピード感が全然違うものになるのが凄かった。5人の職業、人間関係、怪談が苦手な人が助手席、〈車両の揺れが大きくなっています〉の連続で、読みながら頭の中では景色がどんどん速度を上げて後ろへ流れていくような感覚。 石黒さんが閃いて描いていた女性は後々効いてくるとは思っていたけど、足元に置いた堀さんのリュックに😱で澤口さんと共にこっちもビビり、最後の最後で驚き😱 それにしても初対面で、逃げ場のない密室で、あれはやりすぎです、怖す

          怪談小説という名の小説怪談(ネタバレ有り)

          怪談小説という名の小説怪談(ネタバレなし)

          澤村伊智さんの小説は『ぼぎわんが、来る』『怖ガラセ屋サン』に次いで3冊目です(アンソロジーで短編も読んでる) 七つの短編集、それぞれ文章の構成が素晴らしく、感情移入し自分も登場人物と同じ世界でゾクゾクしてしまった。怪談を聞いてるというより今まさに恐怖体験に遭遇してしまっている… 日常にある何でもない出来事のようで、だんだん不気味さがあらわになって『・・・え?』と暗転する。『え?冒頭のあれは・・・』とページを戻す。 これはこの後ああいう展開かな、と思っても『は?』となり読

          怪談小説という名の小説怪談(ネタバレなし)

          森から来た少年(ネタバレなし)

          ある日忽然と姿を消したクラスメイトの女子高生を、孫から探してほしいと相談を受けた、豪腕弁護士へスターおばあちゃん。協力を仰いだのは、亡き息子の親友にして、幼い頃に独り森で育った過去を持つ謎多き天才調査員ワイルド。2人の捜査は予想外の過去をあぶり出し、やがて巨大な闇へと辿り着く。 アメリカで刊行されるや、主要メディアで軒並み初登場一位を獲得した傑作サスペンス! と、文庫の裏表紙の説明文を読んで(表紙も気に入ったし)、アメリカ人作家は初めて読むけど面白そうだし買ってみました。

          森から来た少年(ネタバレなし)

          愚かな薔薇(ネタバレ有り)

          読む前は、人のようで人でない美少女が夏の夜に血を求めて彷徨う中、様々な事件が起こったりetc…っていう物語かなあなんて思ってたんだけど、当然そんな簡単な話ではなく最高に楽しめましたね🌹 開始30ページ程でかなり面白いし、頭の中に映像がバンバン流れてくるし、ワクワクしっぱなしでした😊 方言も物語の世界観にピッタリだし、登場人物の関係性もそれぞれ魅力的で、奈智と深志のいとこ同士とか、「奈智の血切りをするのは俺だ」ってもうずっと深志の奈智に対する想いがねー💕 それなのに奈

          愚かな薔薇(ネタバレ有り)

          薔薇のなかの蛇(ネタバレ有り)

          大好きな理瀬とヨハンが帰ってきた!! ワクワクしながら読み進めて、だんだん登場人物の描写が明らかに…わぁヨハン(≧∇≦) 古い納屋を改造した、趣きのありそうな、雰囲気のあるスタジオで訪問者の男から猟奇殺人事件の話を嬉々として聞くヨハンのパートと、理瀬が偶然訪れる事ができたブラックローズハウスでの事件のパート。 理瀬はやっぱり華があるというか、考えてる事が他の人とは違うし、何でもお見通しのようで存在感が半端ないです。『なんで禍々しい、美しさ。』理瀬にピッタリ!! た

          薔薇のなかの蛇(ネタバレ有り)

          Another2001 (2巡目ネタバレ有り)

          AnotherエピソードSを読み、Another2001を一読して、それぞれの現象はいつから現れていたのか確認しながらなどの楽しい2巡目です♪ まず目次のイニシャルのM.M.がメイミサキじゃなくてミサキマキセだったなんて! おお、まだ赤沢泉美が存在してない! しかも、4月から休み続けてる生徒がいるという話を赤沢泉美から聞いてるー!!対策の「今年はそういう力関係」というバランスのこととか、ああ、赤沢さん…自分が死者だってわかってて対策してるみたい… 榊原くんの設定もさす

          Another2001 (2巡目ネタバレ有り)

          ユージニアを何度も読む。

          読んでから数年経つとまた読みたくなる作品です。面白かったんだけど内容って結構忘れちゃってるので何度も読んでます(≧∀≦) (舞台であろう金沢へは一度行った事があるけど、内容通り突然かなりの雨に降られた事を思い出しました^ ^) で、今回のブームでまた2巡目なのですが、冒頭のプロローグの後、『忘れられた祝祭』の作者と聞き手がいるわけだけど、この聞き手の人物は誰なのかという問題、一度読んだだけでは分からないんですよね。その後にも出てくる、関係者の話を聞いている人物。 そ

          ユージニアを何度も読む。

          Anotherもっと早く読んでればよかった

          昔、息子がアニメを見ていて、一緒に少しだけ見てたからまぁいっかと思い、だいぶ後回しになってしまってたんだけど、 流石の綾辻先生❗️あんなに綿密に練られているのに、あんなに沢山の死人が出てるのに特定の犯人がいるわけではないし、26年前の美談にもなりそうな素敵っぽい事柄からの終わりを知らない呪いの話なのにこの爽やかな読後感(≧∇≦) まだ1回しか読んでないけど、思い返せば九官鳥のセリフも気になったし、綾辻行人のことだからきっと何かあるんだろうと思わずにはいられませんでした。ア

          Anotherもっと早く読んでればよかった

          恩田陸著 灰の劇場(ネタバレなし)

          物語の構成も面白くてどんどん読んでいけるし、確かに読んだ後に語りたくなる小説ですね。 誰もが自身の過去、現在、未来を思わずにはいられないと思うし、自身の家族との関係や、過去に聞いた友達の、家族との関係をつい思い出してみたり。 過去に“T“と同じ事を考えていた場面もあって衝撃を受けたり、私の母を病院で1人きりで逝かせてしまった事や、40歳になってすぐに命を絶つことになってしまった姉の境遇を思い起こしてみたり… 地球上で生きた人の人生は、それぞれが舞台に立っているようなもの

          恩田陸著 灰の劇場(ネタバレなし)

          素晴らしい仕掛けだった『眼球綺譚』

          こちらも何年も前に読んだきりで「確か面白かったはず」としか記憶がない綾辻行人先生の文庫本をステイホームのお供に(^-^) 7つの短編集なのですが、短編と言ってもそれぞれの怪奇・幻想的なホラー小説の世界にしっかり浸ることができました(≧∇≦) 読み進むごとにドキドキし、クライマックスでページをめくったらアレが…と思ったのに自分の想像を覆す美しい結末だったり、「特別料理」のグロさに食欲が失せたり、「鉄橋」でヒイイイイーーーってなったりψ(`∇´)ψ 「眼球綺譚」はミステリの

          素晴らしい仕掛けだった『眼球綺譚』

          血の色、匂い漂う中での一気読み

          すっかり内容を忘れたので何年か振りに読みました^^ 規則の厳しい全寮制名門女学園、自分が何者なのか不安でしょうがない転入生の主人公(私の大好きな恩田陸著「麦の海に沈む果実」とほぼ同じ(≧∀≦)) 転入早々不穏だらけだし早速事件は起きるし、綾辻先生の仕掛けにはやっぱり気づかず騙されたままだし、殺人犯がね…嗚呼… 私が読んだこの文庫本は、あとがきの次に 「綾辻行人の視覚 津原泰水」 という素敵なラストがあって、この「緋色の囁き」を手に取らなかった間に私は津原泰水先生

          血の色、匂い漂う中での一気読み

          読み終わってすぐに2周目を読み始めた小説をおすすめします🌟

          沢山の作家さんの小説を読んでいる訳ではなく、ジャンルが幻想・ミステリーで、ちょっと立ち読みして「この文体はあんまり…」と感じてしまうものは読みたくないということで、私のお気に入りの小説家は3人です😙←銀色夏生さんは入ってません お気に入りの作家さんのばかり集めてるのですが、その中で特におもしろくて衝撃を受けた小説を紹介したいと思います。 『麦の海に沈む果実』恩田陸著  講談社文庫 閉ざされた土地にある全寮制の学園へ1人向かう主人公。自分だけ何故か入学してはいけない日に入

          読み終わってすぐに2周目を読み始めた小説をおすすめします🌟