見出し画像

詩三篇(2021.09.04)

1
プラットフォームのはしで
鳥が電話を取り出した
ええ まっ
ええ ええ まっ
繋がるなり
相槌ばかり打っていたそれが
私には私の父を思い出させた
昔のです 連続写真には
かすかに映る 丁寧な態度
押し入れにあるアルバムの
母が整えた思い出
いまはじめて鳥が泣いてるのに
気づいた
ええ まっ
ええ ええ まっ
長い沈黙のあと
ほんとうなんですね?
電話をポケットにしまった鳥は
わかりました 至急
そして私のほうを一瞬見て 父
ちょっと羽を繕って去っていった
その目に
写真を写した母のように映ったろうか
それとも
私の訃報でも聞いたのだろうか

2
ボールペンを解体して
筒をぴーぴー吹いてると
むずかしい顔をした人が来た
それ それを撮らせてもらえないか
その人は言った
私は卑猥なことした気分になって
それを断った
録音もだめかい
だめです
筒を触ってもいいかい
だめです変態っ
その人は悲しそうな顔をして
文房具屋のあるほうへ
去っていった

3
夜中に唸っていると
首にうなぎが巻き付いてるのに
気がついた うなぎは
悩みのある者を楽にさせてあげようと
善意でやってる
果てしなく続く人生の
半分以上がつらい者をだ
うなぎから見るとそれは永遠に近く
うなぎ自身が絶望している
殺したる 楽にしたると
ぎゅっと締めてきた
わたしはしにたくないよー
目覚めると朝で
人に話すと タレ を
枕元に置いとくといいと言われた

もしも気に入りましたらサポートをよろしくお願いいたします! 励みになります喜びます!