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茨城アストロプラネッツvs.ソフトバンク3軍観戦記(2023.4.16)

2度目の笠間市営球場へ。

(前回までのあらすじ)


今日は伊藤悠一監督率いる「茨城アストロプラネッツ」のホーム開幕戦。
朝8時頃に住吉を出て北千住に向かい、そこから東武線の「特急りょうもう」に乗り換える。昔の特急っぽい風情が素敵。「特急りょうもう・赤城行き」ネーミングが渋すぎます。

久喜で湘南新宿ラインに乗り換えて、さらに小山駅で水戸線に乗り換え。小山は競泳の萩野公介選手の出身地だよなぁと思い出す。そこから普通電車で笠間駅へ。

そこから球場までは2キロくらい。歩きはしんどいかなと考えていると、駅前にレンタルサイクルが!しかも僕が加入してるdocomoのやつ。超ラッキー!クロスバイクっぽいのもありました。

電動自転車でのんびり走っていると、山の方から気持ちの良い風が吹いてきて、小川のほとりには菜の花が咲いていたりして、この時点でかなり満足してしまいました。旅情しかありません。

鼻歌まじりに球場に着くと、いくつかの出店が出ていたり、地元高校のブラスバンドが準備をしていたり、それなりの盛り上がりを見せていました。
地元NHKの取材陣もいて「インタビューとか申し込まれたらどうしよう」とドキドキしましたが、全く声はかからず笑。

入場料は前売り1700円。当日2000円。でもお土産に地元の笠間焼きの素敵な湯呑みがプレゼントされたので、すでに元は取れているような笑。

球場に入ると、グランドは城内整備が行われていた。前日までの雨で、グラウンドはまだ水を含んでいて、それはそうだよね。阪神園芸が独立リーグにあるわけもなく、選手やコーチがトンボをかけたり、一輪車で砂を運んで、思わず倒してしまって笑い合ったり、そんな手作りの空気が流れていた。

伊藤監督はどこにいるのかな。
探していると、セカンドあたりで選手と話していた。
気のせいかもしれないけれど、キャンプやオープン戦の頃よりも選手との距離は近づいているように見えた。
茶髪の選手(ユニフォームじゃないから、誰かわかりませんでした)と話していたのはダッシュの時の足の使い方。陸上の十種競技の選手でもあった伊藤監督。太ももの引きつけ方や地面の蹴り方を丁寧に伝えている、ように見えた。

と、場内の音楽に聞き覚えのある音楽が。
NHK「プロフェッショナル」のテーマ音楽だ。

 「ずっと探していた 理想の自分って
  もうちょっとカッコよかったけど
  僕が歩いてきた 日々と道のりを
  ほんとはジブンっていうらしい」

NHKディレクター出身という売り文句が、今はまだ付いている伊藤監督。
そのキャリアの中でも彼がこだわって作ったのが、陸上選手・山縣亮太の「プロフェッショナル」で僕は、そのサポートをした。
個性と個性がぶつかり合うのは、テレビの番組も野球のチームも同じ。懐かしくも、まだ少しヒリヒリする日々を思い出す。

と、その時!

今度はやたらに元気のいい音楽が場内に響く。

「玄界灘の潮風に!
 鍛えし翼 たくましく!
 疾風のごとく 颯爽と!
 栄光目指し はばたけよ!
 いざゆけ!無敵の若鷹軍団!!!」

歌詞にはない「!!」を加えたくなる、とんでもなくアッパーでエモーショナルな応援歌。
そう今日は、ソフトバンクの3軍との交流戦なのであった。

ソフトバンクの選手は、アストロプラネッツの選手よりも大柄に見える。なんだか太々しい感じに日焼けしていて、何ならもう中洲でモテてるんじゃないの?そんなやっかみをはさみたくなるような佇まい。
でも、戦いの構図としては面白い。だって、試合開始30分前でも、プラネッツの選手はグラウンド整備に余念がないんですよ。
愛おしいのは、間違いなくこっちです(偏見)

試合開始前、ファンサービスのほんわかしたイベントが行われる。少年野球の子どもたちにまじって、伊藤監督も「フライをキャッチできるか」的なイベントに参加。全く気負いなく自然に楽しむ姿があった。

私もビールを笑

まだちょっとだけあった「プロ経験がない伊藤監督はチームで居心地悪い感じなんじゃないか」的な不安は今日でほとんど払拭されました。

試合が始まった。
アストロプラネッツの先発は根岸涼。
力感のあるフォームから、ストライクゾーンでどんどん攻めていく。序盤はほとんどソフトバンク打線に付け入る隙を与えない。

そしてソフトバンクの投手もいい。
ちょっと端折ってしまうけど、アストロプラネッツはこの試合1安打。付け入る隙でいうと、こっちの方がなかった。

アストロプラネッツ的な1番の見せ場(というか盛り上がりポイント)は4回。フォアボールやヒットで、1アウト満塁のピンチを招いた場面。ここで見せたピッチャー根岸の粘りは凄かった。
相手打者が、いやーな感じでファールで粘ってフルカウントに。
でも、連続してファールフライに打ち取って0封。
これは「お金を取って見せられる」勝負だったと思います。(偉そうだ)

そして打線ではソフトバンクの4番。生海選手。
どちらかと言うと「投高打低」っぽいイメージのある試合の中でちょっと群を抜いていた。エラーで出たランナーの後に2ランホームラン。その後も3安打の猛打賞。凄い!

今調べてみると、本名は甲斐生海で今年のドラフト3位なんですね。しかも北九州小倉北区出身じゃないですか!
うーん応援したいけど、ちょっと不思議な気持ちにもなりました。「3軍」って何?的な。

後半はソフトバンクもアストロプラネッツも、次々に投手を繰り出していきます。
ソフトバンクの3番手マイロンは150キロの速球で連続三振。プラネッツの投手もしっかりとした投球を見せていました。

一方で、守備や走塁ではいくつかのミスも。ここら辺のアンバランスさをどう理解すればいいのかというのは、前回の巨人三軍とのオープン戦でも思ったところです。


そう言えば先週。前の勤務地の北九州でJ3のギラヴァンツ北九州の試合を見ました。

J1昇格の為に、市長選挙の争点ともなった100億円をかけたスタジアムを建設した年にJ3に降格したギラヴァンツ。一時はJ2に浮上したものの、今はJ3でも低迷している。

僕が応援した松本山雅との試合も逆転で敗れ、今はJ3で17位。下手したらJFLへの降格だってありうる。サポーターは怒り、意気消沈し、それでもジャンプの応援を止めなかった。

Jリーグでは全てのチームに明確に「J1での優勝」という目標があり、論理的にはその道が開けている。(逆の道も)サポーターはその目標を胸にチームを応援し、時に厳しく批判する。さらにチームのバランスやスタイル。結果もそうだけど、「どういうサッカーをするか」というコンセプトも問われる。

ならばアストロプラネッツは、「どんな野球」を目指しているのか。あるいはNPBを目指すという目標がその上に来るのか。その時に、ファンに見せるものとは何か。今の独立リーグにそこまでを求めるのは酷なのか。

ここら辺を深めるのには、今のほろ酔い気分では難しいのでまた次回。でも、独立リーグって面白いなと思います。色々な意味で。良くも悪くも日本の社会の相似形のように見える日本の野球界。それに対する新たなアクション、潮流としての独立リーグの挑戦にはとっても期待します。

結果は3−1。
試合途中に降っていた雨も試合後にはすっかりと上がり、笠間市の空には、とてもいい空気が流れていました。プラネッツの選手は試合後すぐに外に出て、来場客に丁寧に挨拶をしていました。
僕は電動自転車で笠間駅に戻り、また電車を乗り継いで帰りました。

謎のイチローさんも笑

北千住のもつ焼き屋で、独立リーグのことやソフトバンクス3軍のことや伊藤監督とアストロプラネッツの今後のことを考えて、
「みんな、頑張れ!」と曖昧な結論を胸に、黒ホッピーをおかわりしました。

僕も頑張ります。明日から。

そんな気持ちにさせてくれる試合でした。

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