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彼女の一言


バスケをするために夜コートに車で走った。
いつも行く所は若い人がいて、入るのは気まずく、そのまま走り去った。

行った事はなかったが、もう一つのゴールを僕は知っていたので、そこを目指してそのまま走り続けた。

着いてコートを見にいくと、誰もいない。
よっしゃ!ラッキー!と思ったが、もう21時近い。
小学校の前のゴールなので、かなりの住宅街。

これ近所迷惑にならないかな、、
少し悩んだが、そのままボールすら出さずに、車に戻った。


このまま帰るのもなんか嫌だし、ぶらぶらするために、その辺りをまた走り始めた。

すると、今まで気付かなかったが、この辺りの家は大きく立派な家が多かった。
かなり大きく、窓も大きく、庭も広く。
そんな時、自分は何故か、かなり凹んだ。



多分前までの自分なら、ここまで凹まなかっただろう。
だけど今は、彼女と一軒家の話をよくしている。
どんな家がいいだろう。どんな外観がいいだろう。
でもお金がな、、注文住宅は無理かな、、
そんな話を何度もしていた。

そんな自分には、この立派な住宅街はなかなか応えた。


なんで自分はこんな惨めなんだろう。
いつからこんなに惨めになったんだろう。
勝ち組か負け組かなら、自分は負け組だと思う。
でも、自分より負け組は多くいるかもしれない。そう思うとまだ勝ち組なのかな。
でも彼女を喜ばしたいけどお金が無いから出来ない。
だからやっぱり負け組か。
勝ち組までの距離が遠くて、悲しくなる。

こんな負の連鎖に陥り、ぼーっと車の中で落ち込んだ。
勝ち負けで判断している自分にも、同時に虚しく感じた。



いつからこんなんになったんだろう。
最近の気がするな。。
そう思うと前までの自分はこんなに惨めに感じていなかったはず。

何でだろ。まだ自分なら上に行ける。
そう希望に満ち溢れていたからかな。
じゃあ今の自分は希望はないのだろうか。
なんでこんな惨めなんだろう。

また負の連鎖に入った。



こんなこと考えても終わらないと思い、アパートに帰った。
駐車場に着き、部屋に入るまでの道のりでも、負の連鎖は続く。

そして部屋に入り、遅くなった理由を話した。
そして、惨めに感じた話もした。


すると彼女は一言。

「金持ちはだいたい悪い事してるよ、ぜったい」



この一言の威力はすごかった。
さっきまでの負の連鎖を吹き飛んだ。
その言葉に共感したわけではない。
金持ちはその分努力している事は知っている。
彼女も知っているはず。
だけどそんな簡単に、そんな単純な言葉が出る彼女は、シンプルに凄いと思った。
自分が深く入っていった沼を、一掻きで拭い去った、そんな気分になった。

何でもかんでも深く考え、ネガティブになっていく自分には、この人はピッタリなんだろう。
自分に合ったこの人を見つけられた僕は、まだ幸せの方なのかもしれない。
まだ希望を持って、人生を過ごしてもいいのかもしれない。

このまま希望を持ち、残りの人生に挑み、大きく変わったとして、
あなたの人生を変えたのは何ですか?とインタビューされた時は、あの言葉を言おう。


「金持ちはだいたい悪い事してるよ、ぜったい」
ですと。
面白くなりそうだから、もう少し頑張ってみることにする。

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