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ラインアウトモールの考え方 ②バックリフターってどっちを向くのが良いの?

ラインアウトモールの考え方 第2回です。
今回は、「バックリフターの向きによるメリット、デメリットは何ですが?」という質問を頂いたので、その考え方について書きます。

まず、前回の記事『①どんなモールが強いのか?』のおさらいです。

強いラインアウトモールを組む3要素
1)固まる
2)低さ
3)押す方向の統一

バックリフターの向きと言うのは、以上の3要素を実行する上でとても大切です。

今回は、バックリフターが向くのは下記3方向として考えます。
1.前向き
2.後ろ向き
3.横向き

1.前向き

まずは、前向きについてです。
上記の強いモールを組む3要素でメリットを言えば、

2)低さ
3)押す方向の統一

以上の2点かなと思います。

画像1

2)低さ においては、絵の通り、タックルの姿勢に似た部分もあるので、全ての選手がその姿勢で低くなる事に慣れているというのはやりやすいポイントなのではないでしょうか。

3)押す方向の統一 においては、最初に決めた方向への一点突破を考えれば統一はしやすいです。

また、単純にジャンパー以外の全員が前を向いている事になるので、押す力は強くなります。


デメリットは、1)固まる という部分で隙間が生まれやすい事が挙げられます。
画像では、ジャンプしてから降ろす所を上から見たイメージで書いていますが、青い矢印がモールを組むに当たり身体を動かす方向です。
点線で囲った部分に隙間ができやすく、ここをDFに割られるとモールが崩壊します。

画像2

隙間ができないようにするには、バックリフターがジャンパーに接している内側の肩を隠す形になると良いですが、その分ジャンパーが剥き出しになるのでサックに対しては弱くなります。

また、前を向いている時は顔が前面にあり、DFが頭を突っ込んでくるスペースが多いので腕をうまく使いスペースを消していく動きが必要です。

2.後ろ向き

後ろ向きのメリットは1)固まる という部分において、
・サックに対応できる事
・最初の段階での隙間を生みにくい
という点が挙げられると思います。

画像3

もちろん完全にジャンパーに対して被ったらオブストラクションを取られますが、取られない範囲でジャンパーを支える事で、サックに対応する事ができます。
また、背中の面を向ける事になるので、間さえ割られなければDF側が頭を入れるスペースが生まれないので、固まりにはなりやすいです。

また、3)押す方向の統一 という面においても、バックリフターを支点にしてポスト側に押していく事がしやすいです。

デメリットとしては、前向きで押す人数が減る事による推進力の減少と、最初の一撃のプッシュでDFのプレッシャーを受けやすいという事です。
いくら固まりやすいとはいえ、固まる前に丸ごと運ばれてしまうと為す術がありません。

3.横向き

横向きのメリットとしては、上記2つにおける良いとこ取りを狙える事です。最初の時点で、サックに対しては支えとなり、跳ばないで入ってくる相手にはそのまま低くなって腕でスペースを消しつつ自分から当たりに行けます。

デメリットとしては、セットが上手くいかず脇腹に入られた場合、そこに最初から人なんていなかったかのようにあっという間に崩壊する事です。

4.まとめ

全ての状況に対応するベストな向き方があるわけではないです。

一種類を徹底的に鍛えてなんとかするか、状況に応じて現場で判断して適したものを使うか、その辺の準備はチームによって変わると思いますが、出ている選手の意識を統一してチーム全員がそれを実行する事が、最も重要だと思います。

ラインアウトモールは、ゴール前でトライを取れるか取れないか重要な局面で組む事も多く、視野が狭くなりがちです。

組み方のメリットとデメリットを理解しておく事で、
「このDFの仕方なら自信を持って押せる」
「こうやってDFしてきたらここにプレッシャーを受ける可能性が高いから対策をする」
等、厳しい状況でも気持ちに余裕をもって自分達のベストなプレーができるのではないでしょうか。


以上
ありがとうございました

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