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看護学生の学習スタイルと臨床能力との関係

Relationship between learning styles and clinical competency in nursing students

Ali Javadzadeh, Hanieh Hasankhani, Zahra Alijani Parizad
BMC Medical Education, 2024

背景
看護教育の有効性の基準とされる臨床能力は、看護学生の教育において極めて重要な要素である。学習スタイルは、学生がどのように情報を処理し知識を習得するかの個人差を反映しており、教育の質を高めるために重要な役割を果たす。

目的
看護学生の学習スタイルと臨床能力の関連性を調査する。

方法
イランのザンジャン医科大学に所属する276名の看護学生を対象に実施された。コルブの学習スタイルとメレトヤの臨床能力評価を用いてデータを収集し、SPSSを使用してデータ分析を行った。

コルブの学習スタイル
収束型(Converging)
強み: 抽象的概念化(理論やモデルを理解する能力)と能動的実験(アイデアを実際に試してみる能力)の組み合わせにより、具体的な問題解決や技術的なタスクに秀でています。
具体例: 収束型の学習者は、新しいソフトウェアを使って実際のプロジェクトを進めることに興味があるエンジニアかもしれません。理論的な知識を実際の技術応用に直接適用し、問題を解決するのが得意です。
発散型(Diverging)
強み: 具体的経験(直接的な経験を通じて学ぶ能力)と観察的反省(経験を多角的に見る能力)を組み合わせ、創造的なアイデアや解決策を生み出すことが得意です。
具体例: 発散型の学習者は、アートクラスで様々なアート作品を鑑賞し、その背後にある意味や感情を探求することに情熱を注いでいるかもしれません。異なる視点から物事を考えることで、創造的なアウトプットを生み出します。
同化型(Assimilating)
強み: 観察的反省と抽象的概念化の組み合わせにより、広範な情報を論理的かつ体系的に理解し、理論やモデルを深く理解することが得意です。
具体例: 同化型の学習者は、大学での講義や研究を通じて新しい理論を学び、その知識を他の情報と結びつけることに興味があるかもしれません。例えば、心理学の理論を使って人の行動パターンを分析することが得意です。
適応型(Accommodating)
強み: 具体的経験と能動的実験の組み合わせにより、新しい経験やチャレンジに積極的に取り組み、直感的かつ柔軟なアプローチで問題に対処することが得意です。
具体例: 適応型の学習者は、インターンシップやフィールドワークを通じて新しい職場環境や文化を体験し、その場の状況に応じて迅速に適応し行動することが得意です。例えば、スタートアップで新しいマーケティング戦略を試すなどが挙げられます。

メトレヤの臨床能力評価
この評価は、患者支援、教育および指導、診断措置、治療措置、職業責任という5つの臨床能力領域をカバーする47項目から構成されています。評価方法は各スキルを四点リッカート尺度で評価され、スキルの利用度を測定します。

結果
学習スタイルの中で最も一般的なのは発散型であり、学生の31.2%がこのカテゴリに分類されました。最も少なかったのは収束型で、18.4%の学生がこのスタイルでした。適応型と収束型の学習スタイルを持つ学生は、他のスタイルよりも高い臨床能力を示しました。この結果から、これらの学習スタイルが臨床環境での効果的な学習と能力の発揮に寄与していることが示唆されます。学習スタイルと臨床能力の間には有意な関係があり、特に適応型と収束型の学習スタイルが臨床能力の向上に関連していることが確認されました(P < 0.05)。

結論
学習スタイルの中でも、適応型と収束型が臨床能力の向上に関連していることが示唆された。

学び
適応型・収束型ともに、実践での課題解決がベースにあるため、臨床実習で効果的に学習ができるような印象を受けた。

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