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ワイズカンパニー

ある先生のおすすめ本ということで、ワイズカンパニーという本を読んだ。

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レビューを読むと「現実離れしている〜」や「理想論」といった論調もあるようだが、私としてはとても考えさせられる、そして看護にも通じる内容であったと感じている。

ケアの概念

相互主観的な経験は他者への共感から生まれ、そこでは「相手の身になって考える」ことによって、他の主体に対する意図的な行為が受け止められ、理解されるという。フッサールはこの共感の仕組みを「 対化」と呼んだ。ある二人が対化すると、二人を隔てるエゴイズムは消え、二人は互いに直接つながっているような感覚を抱く。組織の中で相互主観性の状態(「私」にとらわれず、「私たち」になる)を実現するためには、各メンバーに自己本位の考え方を捨てさせ、互いのことを心から配慮させ合う必要がある。

本書P.1266より引用

フッサールといえば現象学だが、この文書はまさに看護における「ケア」の概念そのものではないか。

ケアは互いが相互作用しており、良いケアがなされた時は、ケアを実施した方もケアされるという。

上記の文書は組織論的な視点から述べているが、看護実践においても同じである。
互いをケアし合える組織は、もちろん働きやすいし、いわゆる心理的安全性も自然と醸成されるだろう。

ケアは何も医療・福祉の専売特許ではない。
「相手の身になって考える」ことで、援助者・被援助者という垣根は取り払われ、エンパワメントされる。
それは組織でも同様だ。
とても納得である。

目先の利益にとらわれない

本書に通底している考え方は、「公共の利益」ということである。
「いかに儲けるか」という目先の利益ではなく、地球規模で、そして長期的に、社会の発展に寄与することが大切である、ということだ。

これを理想論という人もいるかもしれないが、組織はそうであるべきだし、それでこそ企業の存在価値ではないか。
また公共の利益という視点を持って初めて、イノベーションは生まれるはずである。

歴代のイノベーターたちの中には、「どうすれば儲かるか?」ではなく、「どうすればよりよくなれる?」という問いがあったはずだ。

そしてリーダーがそのようなマインドを言葉で伝えられることで、本当の意味で組織となりうるのではないか。

SECIモデル

恥ずかしながら、SECIモデルというものを初めて知った。

個々の暗黙知が周りとの相互作用を経て形式知となり、それがまた周囲へ影響し、より良い形式知へと昇華しながら、またそれは個々の暗黙知となり、またそれは周りとの相互作用を経て・・・という、個人、そして組織としての成長プロセスを表したモデルという印象をもった。

暗黙知→形式知、また個人→←環境の相互作用というダイナミックな連鎖がそこでは起きており、この循環の中心には、ビジョンやバリュー、そして実践がある。
その事例として、JALやホンダといった日本の企業が取り上げられていた。

普段仕事をしていると、ついミッションやバリュー、もっと平たく言えば、自分が何を大切に仕事をしているか、自分の実践の目的は何か、といったことを考えることはあまりないかもしれない。

でもやっぱり教育に携わっているからこそ、自分がそのような姿勢で働くことが何よりの教育になるのだと思う。

まとめ

他領域の本であったが、医療従事者は一読する価値があるように思う。

高い視座を忘れず、またそれを実践できるように頑張りたい。







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