ピアノの音を、どうやって作りあげるか
例えば、強く弾く・素早く鍵盤を押す・スラーは前の音と後ろの音を少し被せてつなげる・鍵盤の底のフェルトを圧して弾く・ハーフタッチで弾く。。。。。。これらは、ピアノの音をどう作り上げるかを、物理的視点から説明したもの。技術的な話。
では、「柔らかく弾く」「歌うように弾く」なんなら「美しく弾く」とは?イメージの領域であるこれら抽象的概念を、音として3次元に表出させるには何をどうすればよいのか?
ここに、ピアノの音色を作り上げる、という視点が生まれる。人に個々の持ち声があるように、ピアニストにも自分の音がある。だから、同じピアノであっても弾く人によって音が違う。そしてそれは作られるものである。ピアノにも発声法があるのだ。ただ押せば音が鳴るピアノだけれど、ただ押しても、その音に魂は乗らない。人は振動している。音も振動している。人の念も振動していて音にそれを乗せる。だからその人特有の音が生まれる。強弱やスピードの話ではない。音そのものが持つ美しさの話だ。
ではピアノの音色は、どうやって作られるのか。あなたはどうやって自分が奏でるピアノの音を作り上げればよいのか?
欲しい音を音を出す前にイメージすること。自分が出した音をよく聞くこと。それらを比較すること。そして、イメージした通りの理想の音がでたとき、身体と心はどんな状態だったかを、自己スキャンすること。
身体的には、肘の角度だったかもしれない。座る位置だったかもしれない。気にかける指を変えたのかもしれない。心の状態としては、音を天から降ろしてくるイメージだったかもしれない。ありがとうと思ったかもしれない。綺麗な音をくださいと念じたのかもしれない。
マインド、ボディ、スピリットの三位一体。思考の使い方、身体の使い方、意識の使い方。
内観でもあり、瞑想でもあり、ハイヤーセルフとの対話かもしれない。演奏を聴けばその人の在り方がわかる、というのは自明の理なのである。
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