エクソソーム製品の中身に注意!
こんにちは!
今日も僕のnoteをお読みいただきありがとうございます。
今、いろいろなプロジェクトにかかわっているので
面白い情報がたくさんあり、何からお話ししようか迷います。
さて、今日は
今、世界中で研究が進むエクソソームの話題をお伝えします。
今話題のエクソソームとは?
今、世界中でエクソソームの研究が盛んに行なわれています。
エクソソームについては、
過去のnoteでも触れてきましたが、
忘れてしまった方のために簡単に説明しておきますね!
エクソソームは、体内の細胞から分泌される
直径100ナノメートルほどのごく微小なカプセル状の物質です。
内部にはサイトカイン(成長因子)のほか、
メッセンジャーRNAやマイクロRNA、DNAなどが含まれ、
細胞や組織に遺伝子情報を伝達する役割があることがわかっています。
細胞から分泌されたエクソソームは、
細胞間だけでなく、血液や髄液にも存在して、
体中を循環しています。
血管や皮膚を再生する効果が高く、
美容医療や再生医療の分野でも
大変注目されています。
エクソソームは、現在のところ、
日本でも医薬品として承認されていないので、
聖心美容クリニックでは「研究試薬」として使用しています。
エクソソームには脂肪、歯髄、臍帯由来があり、
ほかにも胎盤由来や月経血由来のものもあります。
治療効果にはそれぞれ特徴があり、
例えば、脂肪由来のエクソソームは血管新生や皮膚、毛髪の再生、歯髄由来は神経の修復や再生、臍帯由来はさらに多くの治療効果が期待できます。
幹細胞培養上清液からエクソソームだけ抽出することは難しいので、
成長因子やサイトカインなどをできるだけ排除し
ほぼエクソソームにできれば
今後、EV製剤として取り扱われていくことになります。
ちなみに、EV製剤とは、エクソソーム(Exosomes)や細胞外小胞(Extracellular Vesicles, EVs)を利用した医薬品相当の製剤のことです。
エクソソームの効果については、“医薬品相当”と、
PMDA(医薬品医療機器総合機構)が昨年見解を出していることから、
従来の再生医療法とは別の何らかのルールが
今後、つくられると思います。
クリニックで使われているエクソソームを含む製品の中身は?
さて、このエクソソームを含む製品について最近、
こんなNHKの特集番組を見ました。
エクソソーム研究の第一人者である、
東京医科大の落谷教授のグループが、
エクソソームが入っているといわれている培養上清液の製品を、
エクソソーム特有のたんぱく質の反応から調べたところ、
12社のうち3社はエクソソームの存在を確認できなかったというのです。
残りの9品についても、
エクソソーム特有のたんぱく質の反応は見られたものの、
製品によって差が大きく、
エクソソームの量にばらつきがあるとのことでした。
落谷先生は、きちんとしたエクソソームが入ったものか、
粒子やタンパク質の反応を見て調べ、しっかり認識して使うことが重要だとメッセージで伝えています。
エクソソームは、100μくらいの大きさの粒子です。
しかし、細胞からでている100μくらいの粒子は、他にもたくさん存在します。
ですから、エクソソームらしき大きさの粒子をカウントしただけでは
それが本当にエクソソームなのかは分からないはずです。
粒子の大きさに加え、エクソソームの表面マーカーや内部のマイクロRNAまで調べる必要性がありそうです。
医者は、メーカーが「この商品にはエクソソームが入っている」と言えば信じるしかありません。
だから、実際はエクソソームがきちんと入っている製品であるかは、
メーカー側、製造者側の責任がとても大きいと思います。
さらに先日、厚生労働省から
エクソソーム製品を医薬品と誤認させるように標榜して広告、販売する企業を取り締まる事務連絡が発出されました。
一方で、それを扱う医療機関も、
本当にエクソソームが入っているのか心配であれば
メーカーの資料を鵜呑みにせず、きちんと調べたほうがいいでしょう。
実は聖心美容クリニックでもメーカーから提供されたサンプルを
調べてもらったことがあります。
そして、実際、海外の製品の中に思ったほどエクソソームが入っていなかったものがありました。
もちろん、現在取り扱っている製品については、
マイクロRNAの存在も調べて、確かにエクソソームが十分に含有されていることを確認したもののみ、使用しています。
最後までお読みいただきありがとうございます。
エクソソームは素晴らしい効果が期待でき、
美容医療だけでなく、
あらゆる医療分野で人々の健康に寄与するものだと確信しています。
加工される細胞の種類によって、それぞれの特徴があり、うまく組み合わせることで、治療の可能性はさらに広がるでしょう。
一方で、今回のように
きちんとエクソソームが入っていないような製品が
存在するという、メーカーの無責任さには呆れますね。
メーカー側には責任をもって製造してほしいですし、
医療機関側としても、患者さんに医療を提供する責任として
扱う製品の中身については
徹底して調べる姿勢が必要だと思っています。
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