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1次産業に価値をつける

衰退する日本は、1次産業の弱体化が原因

日本の衰退が止まらない。失われた30年間、日本がやってきたことが悉くとまでは言わないが、裏目に出ているというか、根本的な構造を変えることができずに、この状態まで来てしまっている。

その根本的な構造とは、中央集権的なヒエラルキー構造にある。戦後構築し高度成長という強烈な成功体験により体系づけられたこの構造から脱却できないまま、現在に至っている。

特に行政側の組織体制が、外圧にのみ対抗する形で、自ら変わるという内的な動きでは、変革することが十分に行われないまま、今日に至り、結局は破局を迎えるまで、変えることが出来ないということになりそうな勢いがある。

日本は、稲作型の村社会であるから、毎年同じことを繰り返すことに向いている社会である。
狩猟社会である欧米資本主義社会においては、獲物がいなくなったところにいくら狩に行っても、獲物は得られないので、常に獲物を探して移動する、獲物に合わせて変化をするという社会である。
現在のグローバル資本主義の世界では、このゲームルールに基づいてマネーゲームを行なっているので、このルールで戦うグローバル企業では、適応しながら成長をしてきているところである。

しかし、1次産業の多くは、個人事業主であり、戦前からの旧態の社会構造の村社会をベースに、これまで家族経営の中で、存続をしてきた。

しかし、結果的に、最後にサービスを提供する人が一番価値を高められることから、1次産業の生産者は、安く買い叩かれる結果となり、収入が上がらないため、後継者は、都会に出ざるを得なくなり、日本の1次産業は、どんどん衰退していき、後継者不足となっている。

一方で、都市に移住してきた労働者層も、勤勉に畑を耕して入れば、一定の収穫が得られる農耕型ではないので、獲物を多く取れるやつが偉いという社会にも、日本人のメンタリティには合わないのは当然で、故に、この理不尽な社会に馴染めない人が増えているのはある意味当たり前の結果なのかもしれない。

単なるマネーゲームとしての資本主義をベースとした社会では、この地球という環境が維持できないと理解されており、転換点にいるという認識が共通化されているが、まだこの社会はそこに辿り着けていない。



日本を復活するためには1次産業を活性化させることしかない。

地方創生の議論においても、地方を元気に、活性化したいということでまちづくりの議論が盛んに行われているが、結局のところ産業がしっかりその地域にないとその地域は栄えないのである。その産業が衰退してしまったから、人口も減り、商店もシャッター街になるのである。

日本という国土を考えた時に、持続可能なものは、やはり農業をベースにするしかないのではないだろうか。そして日本には、山と海に囲まれているので、林業と水産資源にも恵まれている。

そうした中で、1次産業のあり方を変えるやり方の実践が進んでいるので、今日はそのあたりの取り組みについてレビューしてみたい。

6次産業化

1次産業をベースに、加工の2次産業、サービス、販売の3次産業まで組み合わせることを6次産業化という。

上記のホームページで紹介されている成功事例は、長野県のりんご農家によるハードサイダー、みかん果樹園のみかんジュース、パクチーペーストのように加工品をネットで販売するという仕組みである。

こうしてみてみると、6次産業化には、高度な専門知識と、大規模な設備投資が必要で、更にそれを回収するためのマーケティングまで自社でやる必要があり、非常に難易度が高く、素人が簡単に出来るものではないことがわかる。
どうしても6次産業は、農水省が旗を振って、JAが主導しながら進めているので、付加価値を高めるのが、加工品どまりのような感じがしており、まちづくりという文脈まで辿りついていない。

都市農業の未来形 chavipelto

そうした中で、草加市の都市農業を実践しているチャヴィさんは、ある意味都市農業の未来形の一つだと思う。

農業の持つ可能性を余すことなく、価値にしている事例だと思う。農業には、まだまだ可能性がたくさんあると感じる。農業を継いだ中山拓郎さんが中心となって、多くの方と関係を構築していて、それほど規模が大きいという訳ではない、しかも草加市の駅から数分という住宅地の中で、これほど豊な都市農業をしている事例を見たことが他にない。
そして何よりも採れたての野菜がとても美味しいのだ。どれだけ、崇高な理念であっても、食べ物である以上、美味しくなければやはり意味がないのだと感じる。

暮らしを育てる農園 リベンデル

茅ヶ崎でシェア農園をしているリベンデルも、農の可能性を感じる場所である。ここは、茅ヶ崎市の熊澤さんが、使わなくなったおじいちゃんの代のお家をリノベーションして、シェア農園であるが、単に区画を貸し出すだけでなく、コミュニティ農園というコンセプトで、ランドスケープがデザインされている。自分も今の生活になるまでは、ここの会員であった場所で、始めてここの場所に来た時に一目惚れして会員になった場所である。今では、もう一つの実家のような場所になっている。

紫波町 ノウルプロジェクト

そして今一番注目しているのが岩手県紫波町のノウルプロジェクトである。これは、オガールプロジェクトを手がけた岡崎さんが関わっているプロジェクトである。オガール自体も実は、農業の支援というのがコンセプトにあり、産直のマルシェ事業は、紫波町の農業生産者を豊かにすることを目的としており、産直の成功により、1000万円を超える農家さんがたくさん誕生している。
また、紫波町役場の跡地活用であるひづめゆには、ハードサイダーのお店が入っている。
そういう意味では、既に色々なところで、農業を強くするための仕掛けが仕込まれている。
それなのに、表面上は決して農業支援というような、行政的な色合いを見せないで、消費者向けに、きちんとマーケティングして、かっこよくそして美味しそうに、買いたいものを提供しているというセンスは本当に学ぶべきところだと思う。

こう考えると

デスティネーションレストラン

もう一つ別の切り口で、デスティネーションレストランというものがある。これは、木下斉さんのVoicyで知った言葉であるが、今レストランが観光の目的地になるようなお店が増えているというのだ。

https://authentic-japan-selection.japantimes.com/jp/

これらのレストランは、どれも高付加価値で、良いものを、ちゃんとした値段で提供するというものであり、まさにプロフェッショナルな仕事である。
単に美味しい食事を提供するだけでなく、その地域の歴史、風土、そこの土地で取れる食材に精通し、最高の空間で、提供するというプロデュース能力が求められる。

まとめ

農という価値を最大限に引き出すには、その価値を使いこなせるプロフェッショナルの存在が不可欠であると言える。そのプロの価値観、プロデュース能力に学び、身につけていくことが大事だと改めて感じた。

こうして調べてみると、既に農業をベースとして様々な付加価値を高めるための取り組みがたくさん行われていることがわかった。これらのコンセプトをプロデュースして、実践出来るようになりたい。

今後も学び、経験を深めていきたい。


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