天使の詩
「天使に会いたい」
「なんで?」
「人を幸せにしてくれるんだろう?」
「そうなの?」
「違うんじゃない?」
「そうなの?」
「多分」
遠くで神鳴の音がする。
「神様の使いだぜ?」
「だったら余計に人の世話なんかするわけないだろう?」
「じゃあ、天使は何をするんだ?」
「うーん…戦う」
「誰と?」
「敵対するありとあらゆるものと戦っている」
「そりゃ、大変だ」
「そうだな」
「じゃあ、俺なんか幸せにする暇ないな」
「そんなとこだ」
「仕方ないな」
「あぁ、仕方のない話だ」
大粒の雨が窓硝子を叩いた。