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【パフェフンフン33秒】#毎週ショートショートnote

ミーティングテーブルの上にメモが1枚。
「パフェフンフン33秒…?」
独特の癖字。
「峠田くんか?」
これからの打ち合わせの相手だ。来たら渡そう。そう思った。
しばらくして彼は来た。
「これ、キミの?」
「そうです。ありがとうございます」
「何の暗号だ?」
半分冗談で訊く。
「さっきの取材のメモです」
「取材?」
「降霊術です」
峠田くんは何てことなく言う。
「ここで?」
「はい。すれ違いませんでした?」
どうだったろう?誰かとすれ違っただろうか?
「ご家族、遺族の方も驚いてましたよ。最後に食べたいと言っていたものはパフェで」
あぁ、パフェはそれね。
「まぁ録音もしてたんでメモは必要なかったんですが、書くのが癖で、相槌打つわけにもいかなくて文字でフンフンと」
「オイオイ」
「実際降りてたの、憑依してたのは33秒だけなんですけどね。濃厚な33秒でしたよ」
ふうん…。
「その濃厚な33秒の後で悪いね。忘年会の余興の打ち合わせなんて」
峠田くんはフフンと笑った。