【見たことがないスポーツ】#毎週ショートショートnote

「モルック？何それ？」
「スポーツ。比較的新しいスポーツ」
見たことがないスポーツだった。友人の菱川はフィンランド発祥というそのルールを語る。
モルックという名の木で、数字のついたスキットルという木製のピンを倒して５０点になった方が勝ち。
「スポーツ？ペタンクとかいうやつと違うの？」
「あー。やっぱり見た方が早いか？」
菱川は動画を見せてくれた。
「団体戦なんだ？」
意外だった。
「個人戦でもいいさ」
「ふうん」
「気がないねぇ」
「で？チームに入れって？」
「まぁ、そうだね」
僕はゆっくりと首を右に倒し「コキリ」と音を立てた。
「安堂ならすぐコツを掴むと思うんだ。再来週大会。北海道で」
「北海道？」
「旅費はスポンサー持ち。優勝すれば賞金もだけどスポンサーからも金一封」
「そんな高待遇受けられるゲームなの？」
「スポーツな」
僕は再び首を左に回すように倒し「ゴキリ」と鳴らす。
「仕方ないな。やってやるよ」
僕がそう言うと、菱川は満面の笑みを浮かべた。

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まずは空想じゃないスポーツで。