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【二億斉藤】#毎週ショートショートnote

「三億佐藤と二億斉藤?なんだこれは?」
「集めてほしい」
「ちょっと待て。日本人が今、どれだけいると思っているんだ?一億を切ろうとしているんだぞ?」
窓辺に立つ男は片眉を上げた。
「お前、三億の佐藤をどこに集めるつもりだ?」
「は?」
「情報だけでいい。確かな証拠があればいい。過去に遡って三億の佐藤と二億の斉藤」
「それに何の意味があるんだ?」
「お前が知る必要はない」男は冷たく言い放つ。
「・・・集めればいいのだな」
「ちょっと待って」
傍に立って話を聞いていた妹が私の前に出た。
「サイトウは、この斉藤だけが認められるのですね?」
男はニヤリと笑った。だがその目はちっとも笑っていない。
「随分と賢い妹だな」
妹の問いには答えない。
「斉の字違いのサイトウを集めたところで、あなたはカウントから外すつもりですね」
男はやれやれと溜息をついた。
「気付かれちゃ仕方がない。だが、二億斉藤、三億佐藤は変わらない」
俺たちの過酷な戦いは、今始まったばかり。