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秋の星々
その1
眠れない夜は深い海の底を想う。言葉ではなくヴィジョン。光のない海の底で目を凝らす。少しずつ見えてくる。目のない魚や色のない甲殻類。それらがモソモソと行く先には大きな鯨の骨が横たわっている。生き物は皆そこを寝ぐらとしている。私もそこで眠ろう。肋骨の中で眠ろう。静かで優しい海の底で。
— たつきち(達吉) (@TatsukichiNo3) October 4, 2023
その2
随分と深い井戸でね。ほら。落とした石の音がしない。水もすっかり枯れている。この釣瓶に壊れた茶碗を入れて井戸に下ろすんだ。ほら。釣瓶が揺れただろう。これを引き上げると。見てごらん。茶碗が綺麗に元通り。不思議だろう?どんなモノも元通り。そう言う彼の腕の中で、彼の愛猫がミャウと鳴いた。
— たつきち(達吉) (@TatsukichiNo3) October 11, 2023
その3
いつの間にかできた君との間の溝。「深さは問題ない。飛び越えられるよ。見て。幅はこの程度だ」そう、一歩踏み出せば越えられる程度。「浅くても幅のある亀裂よりずっと安全だ」でも君は本当にそれを望んでいるのかい?飽きた君がこちらに背を向けた。途端、溝は幅を一気に広げ、僕も君に背を向けた。
— たつきち(達吉) (@TatsukichiNo3) October 30, 2023
深いは深くて難しかった。