【ガラスの手2】#シロクマ文芸部
ガラスの手には感じなかったそれは禍々しさと呼んでいいものだろうか?
鳥居の向こうに見える手の化け物はただこちらを向いて立っているだけだ。
そもそも神様が自分の気に入った人間を攫うということは、神は鳥居からこっちに出てくるということなのだろう。
しかし、昨日も今日も、神様➖ガラスの手は鳥居から手を覗かせてゆらゆらと手招きとも取れなくもない動きを見せるだけだ。
随分後になって、そのことをミタライさんに訊ねたら「望月さんの守護の力が強くて迂闊に近寄れなかったんですよ」と教えてくれた