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掌編2024

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2024年の創作物です
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2024年4月の記事一覧

時計屋-【小さなオルゴール】#青ブラ文学部

港町。漁港と貿易港を持つ町だった。 その漁港付近には古い時計屋が何軒かある。 町全体の半分…

たつきち
1か月前
19

【ラムネ炭酸寝顔】#毎週ショートショートnote

『夏ラムネ 炭酸寝顔 淡く消ゆ』 「ラムネも炭酸も同じじゃん」 「炭酸は酒。ビール、酎ハイ…

たつきち
1か月前
13

【トラネキサム酸笑顔】#毎週ショートショートnote

野々隅は大学を卒業してから13年、広告代理店勤務。 どちらかといえばイベンターとしての仕…

たつきち
1か月前
13

特殊機関-【小さなオルゴール】#青ブラ文学部

「これって…?」 見覚えのある小さなオルゴールがFのデスクの上に乗っていた。 少し前の任務…

たつきち
1か月前
20

【春の夢】#シロクマ文芸部

「春の夢、終日のたりのたりかな」 「それを言うなら春の海だ」 助手席の蒼月がチラリと青藍を…

たつきち
1か月前
16

【64 三階建て】#100のシリーズ

「そうそう。そこを真っ直ぐ来ると三叉路がある。君が間違っていなければ正面に三階建ての建物…

たつきち
2か月前
12

飲み屋-【やせたガールの日常】#青ブラ文学部

店を閉めた後、精算やら何やらその日の帳簿付けをしながらテレビを見る。 深夜2時。月曜日から金曜日までの30分番組。 地元局制作の奇妙な番組「やせたガールの日常」。 それが終わると一度その日の放送は終わる。 「やせたガール」は何人かいる。 中にはスレンダーな子もいるが平均して痩せてはいないし決して痩せたがっているわけでもない。 「やせたガール」は地元・八瀬田市のアイドルユニット。 彼女らの日常というドキュメンタリーっぽい台本ありきのバラエティだ。 こんなことが日常的に起きていた

【雪解けアルペジオ】#毎週ショートショートnote

練習曲の「雪解けアルペジオ」はギター教室の大橋先生のオリジナルだ。 繰り返すアルペジオは…

たつきち
2か月前
12

【春ギター】#毎週ショートショートnote

板塀を挟んだお隣のおじさんのご機嫌な歌声。 「春が来た♪春が来た♪」と歌っているのはわか…

たつきち
2か月前
15

春の嵐

窓にくっついて外を見ていた青藍が言った。 「何?」 「紙吹雪だ」 「下で結婚式してたからな…

たつきち
2か月前
13

【花吹雪】#シロクマ文芸部

花吹雪の中に立つ彼を私は眺めていた。 映画の撮影を見学していた。 そこにいるのは私の小説に…

たつきち
2か月前
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いつもと違う日

卵焼き占いの結果は凶といっていいだろう。 卵を割る時点で最悪だった。 いつも通りに卵をまな…

たつきち
2か月前
13

葬儀屋 - 【祈りの雨】#青ブラ文芸部

この町の名士である辰野の家の人間は雨男・雨女ばかりだ。と、親戚一同誰もが言う。いや、辰野…

たつきち
2か月前
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【花冷え全員集合】#毎週ショートショートnote

北国の春はのんびりと訪れる。 関東で花見が終わった頃、梅・桃・桜の三春どころか、木蓮や蓮行、雪柳と木々が一斉に花をつける。 贅沢な花見だ。 「だがこの花冷えである」 場所取りをしていた本郷は震えていた。 酒も入り、みんなとドンチャンしているとこのくらいの気温の低さは気にならない。だが、ひとりブルーシートの上で待つ身には寒さが身に染みる。 見上げる桜は美しいが、体を温めてはくれない。 皆が来る前からひとり呑むわけにもいかない。 せめてポットに熱いコーヒーでも入れてくればよかった