①宇宙での生産加工技術
宇宙空間での生産加工技術に興味があるので調べてみました.宇宙空間での製造で3Dプリンターを使うメリットは以下。
・複雑な形状を成型可能
・プリンター1台で完結する
・現地の材料(月・火星の砂)を利用可能
・予備部品の在庫がいらない
3Dプリンターは、”ロケットによる運搬費が高い(軽量化)”、”宇宙居住区に十分なスペースがない”、という問題を解決してくれる。
地球低軌道上で製造
Made In Space社が低軌道で宇宙機の部品を3Dプリントして組み立てる「Archinaut One」を実証するためにNASAと契約を締結した。
2022年には、Rocket Lab Electronロケットに載せられ、ニュージーランドから発射される予定。
最初は、太陽電池を広げるため、宇宙機の両側から伸びる2本の梁を3Dプリント。これにより、同程度のサイズの宇宙機に搭載されている従来の太陽電池と比べて5倍もの電力が発電可能になる。
炭素繊維強化ポリマーの製造
中国が2020年5月に長征5Bによって打ち上げられた宇宙船には、「複合材料宇宙3Dプリントシステム」が搭載された。
宇宙空間で炭素繊維強化ポリマーの3Dプリントを行い、世界初を達成した。(全工程を無人自動制御で成功)
炭素繊維強化ポリマーは、高強度であるため、航空機やロケットの主要な材料となっている。技術が確立すれば、軌道上での大型構造物の建設が可能になる。
宇宙ゴミをリサイクル
TethersUnlimited社は、宇宙での製造材料の入手コストを下げるため、宇宙ゴミの破片をリサイクルすることで3Dプリンターの原料を作る研究を行っている。
2018年、ISSに「Refabricator」と呼ばれるペイロードを設置し、プラスチック部品のリサイクルと3Dプリンティングの実証を成功させた。
現在、NASAが使用する精密部品製造のため「FabLab」システムの金属リサイクルおよび製造技術の開発に取り組んでいる。
月の砂「レゴリス」を原料に
2021年8月にNASAからISSへ補給宇宙船が打ち上げられた。RRP(Redwire Regolith Print)と呼ばれるプロジェクトでは、ISSでレゴリスに見立てた材料を使って3Dプリントの技術実証を行い、出力された部品が宇宙環境で適した強度を示すかどうかを確認した。
火星の砂を原料に
建設用3Dプリント専門企業 ICON は、有人火星探査に使用される予定の3Dプリント居住施設のシミュレーター建設に関する契約をNASAと締結した。
「Mars Dune Alpha(マーズ・デューン・アルファ)」と名付けられた構造物は、ICONの大型建設用3Dプリンタ「Vulcan」を使用してプリントされ、NASAの長期的なミッション・シミュレーションに投入される。
NASAは、将来の宇宙ミッションにおける栄養システムの有効性と、宇宙飛行士が火星の過酷な環境下に長期間晒された場合の身体的・行動的影響を評価する。
NASA主催の宇宙住居開発コンペ
『Centennial Challenge for a 3D-Printed Habitat』
AI SpaceFactory社によって、3Dプリンターによってロボットが建築を行う火星の居住スペース、Marsha(マーシャ)が開発された。
3Dプリンターにデザインデータを記憶させることで、ロボットアームが資源の調達から設計までを行い、30時間以内に無人で建築することができる。
火星で入手可能な「火成岩」と火星で育てることのできる植物を原料とするため、地球から運ぶ資材が少なくなるだけでなく、使用後は土に還すことも可能となる。
月面基地建設プロジェクト
『Project Olympus』
2020年10月、ICONは、NASAからの資金を含む政府中小企業イノベーション研究(SBIR)契約を授与された。
月の将来の探査を支援できる宇宙ベースの建設システムの研究開発を開始しました。
最後に
地上で作る航空宇宙機器では既に3Dプリンターが利用され始めていますが、宇宙空間での利用はまだまだ進んでいません。
研究論文など他に情報を持っている人がいれば、適当にTwitterのDMか何かで教えてください。
参考
地球低軌道上での製造 Made in Space
中国の炭素繊維強化ポリマー
スペースデブリをリサイクル
月面の砂「レゴリス」を原材料に
火星の砂を原材料に
NASA主催の宇宙居住開発コンペ『Centennial Challenge for a 3D-Printed Habitat』
月面居住開発プロジェクト『Project Olympus』
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