感想:作家で億は稼げません:文客商売

本作は、専業作家として生計を立ててきた著者がそのノウハウを紹介した本です。
本書は小説の技巧を紹介しているのではなく、本を書き始める前と無事に書き終えた後にすべきことを指南しています。
新人賞でデビューした方が生存率が高い、本を出したらあちらこちらに献本をすべし、編集からの書き直し要求にはどのように対応すべきか、等々の実用性の高い話が満載です

本書を読んで思うのは、作家という仕事は出版社の需要に応えて作品を用意する文客商売なのだということです。
建設家が自分の好き勝手な建物を建てることができなくても自分の独自性を設計に盛り込むように、作家も編集者や読者の好みに合わせた作品を製造しながら、自分の独自性を出そうと四苦八苦しているのだと分かりました。

本書は現実的な商売のノウハウを教えてくれるのが素晴らしいと思う反面、あまりにも大変そうな仕事なのに見返りが少な過ぎるように見えて、作家志望者に「作家になるのはやめよう。趣味で楽しめば十分だ」と思わせてしまいそうです