感想:小説家になって億を稼ごう:小説執筆は念能力の修行ではありません

何のことか分かりにくいタイトルをつけてしまいましたが、本書で推奨している小説執筆方法の想造は、あらすじも作らず、ひたすら登場人物をより具体的にイメージして、頭の中で動かして、イメージした彼らが活動する物語を最後まで幻視したら、それを紙に起こしていくという超常的な執筆方法です

現実にこれをマネできる人は、ほとんどいないでしょう。
もしかして著者自身も誇張して書いているのではないかと疑っています

ハンターハンターというマンガで、念能力の修行に、ひたすら具体的なゴリラをイメージする修行をしているゴレイヌさんというキャラクターがいるのですが、この想造はその修行にそっくりだと思いました

この本を読んで想造を実践するのは、マンガを読んで主人公の必殺技の練習をするようなものです

本書では、この想造に絶対的な自信を持っており、新人賞獲得も、編集部への持ち込みも、なろう系でトップになるのも、スランプを乗り越えるのも、大きな障壁は全てこの想造で解決しています

さすがプロの小説家だけあって、本書を読んでいると、この荒唐無稽な想造が、何か素晴らしい万能の方法のように思えてきます。
小説家とは被害者を出さない詐欺師のようなものだとは、よく言ったものです

編集部との付き合い方や税金指南は一転して、ものすごく現実的かつ具体的になるので、想造との落差が笑えます

本書は、小説家のジョーク本として読むならば、十分に楽しめると思います