感想:女子高生除霊師アカネ! (1):インチキ霊能力者の効能

本作は、インチキ霊能者をしていた父親がキャバ嬢に入れあげて失踪してしまい、一人残された女子高生が生活の為に自分もインチキ霊能者になるという話です

依頼者からのお祓いの依頼を受けて、霊能力もないのに、父親から教わった詐術と友人達の協力で「除霊」していくというドタバタギャグが楽しい作品です

本作に出てくる登場人物は、霊能者も依頼者もクズばかりですが、どこか憎めない愛嬌もあります。
愛すべきクズ達が出てくるところは著者の前作の「ヒナまつり」と似ています

主人公のしていることはインチキでしかないのですが、結果だけを見れば依頼者たちの抱えた悩みを解決しています。
本作を読んで私が思い出したのは、アフリカの呪術師の話です。
彼らは単に怪しげな術を使うだけではなく、依頼者の悩みを聞いてアドバイスするカウンセラーの役割や、呪術師という権威を用いて家庭の揉め事を解決する調停者の役割も果たしているそうです。
本作の主人公の彼女がしているのも、それと似ていると感じました

もちろん現実には霊感商法で財産をなくしたり、霊感治療で死亡する悲惨な事例も多いので、インチキ霊能者を無条件で肯定することはできませんが、「死者があの世から見守っている」という嘘でしか救われない人達がいるのも確かなことです。
本作の主人公が、母親をなくした女の子に対してついた嘘も、そんな人を救うための嘘でした

このご時世にインチキ霊能者が主人公という大炎上しそうな設定をしているのに、私は主人公に不快感を抱きませんでした。
その理由は、彼女がきちんと依頼者に向き合って、(自分のためとはいえ)彼らの問題の解決方法について真剣に考えているからだと思いました

本作が今後どのような方向に発展していくのか、次巻が楽しみです