感想:嘘解きレトリック (1):少女の孤独を丁寧に癒していく探偵が尊い

本作は、嘘が分かる能力を持った少女と探偵の出会いから始まる物語です。
その能力故に迫害されていた少女が、探偵の親身な指導で能力と生活の折り合いをつけていく過程が面白かったです。
超能力で迫害される展開は珍しくありませんが、超能力を論理的に分析して上手な付き合い方を学ぶという展開は本作ならではの個性だと思いました。

少女の周囲には良い人ばかりですが、良い人に優しくされるだけでは少女の孤独は癒されません。
探偵だけが洞察力の鋭さから、少女の孤独の原因を理解し丁寧に向きあえます。
そして周囲の人は探偵に生活力がないので昼行灯扱いして、探偵の世話をする少女を苦労人と思っています。
ですが少女にとって自分を理解してくれる探偵が自分を必要としていることが、抱えている孤独を癒す最良の方法であり、実際にはお互いに支え合う関係なのです。
少女と探偵の関係がとても尊い作品です。