私の好きなオカルト、嫌いなオカルト

オカルトという現象は存在する

私はオカルトが好きです。幽霊、宇宙人、UFO、妖怪などの話を聞くことを好みます。
その一方では、怪力乱神を語らずを自分のモットーにしており、怪しげで不確かな話を語って人を煽ることをしないように心がけています。
ちなみに、私は数理科学の大学院を出て、エンジニアとして働いており、非科学的な言動には人一倍うるさいです。

この2つは矛盾していると思われるかもしれませんが、私の中では何の矛盾もありません。
私が嫌いなのは、嘘やデタラメ、詐欺まがいのオカルトであり、本物のオカルトとは違います。
この世には「幽霊」や「妖怪」という現象が存在します。
確率論的に考えれば、この広い宇宙に「宇宙人」が存在することは100%に近い事実です。
宇宙人の乗り物かはさておき、「未確認の飛行物体」の目撃証言は数多くあります。
科学的に考えれば、この世に「オカルト」が実在することは自明です。
科学者の末席にいる私が、未知の現象に興味を持つことは当然のことであり、何の矛盾もないわけです。

例えば、昔の人は日食は龍が太陽を食べていたからだと考えていました。
それに対して「龍は存在しないから日食なんてありえない」と言う人がいるでしょうか?
龍がいるかいないかに関わらず、「日食」という現象は存在します。現象の説明が間違っていることと、現象の存在を否定することは別です。

「オカルト」も同じことです。
オカルトという現象は存在します。
ただ、その現象を説明するために、嘘やデタラメが用いられることが多いので、オカルトが胡散臭いものと思われてしまいがちです。

ちなみに私は創作怪談も好きですが、こちらはオカルトというよりも、文化人類学寄りの話なので、ここでは取り上げません。

私の嫌いなオカルト

オカルトを嘘で説明するのが嫌だと私は言いましたが、私は世間一般にいるオカルト好きな人の考察を否定しているわけではありません。
私もオカルトについてはあれこれと考察したり、仮説を立てたりしています。
未知の現象を説明する仮説は全て、まだ真実であることが立証されていない嘘と言えます。
嘘と仮説を区別するのは、そんなに簡単なことではありません。

ですが、私には明確に嫌悪しているタイプのオカルトマニアがいます。
それはオカルトへの敬意がないタイプの人々です。

例えば、わざわざ夜中に廃墟や廃神社、トンネルや墓地に入り込んで、霊が見えた、ラップ音が聞こえたと奇声をあげて大騒ぎして、後日に不摂生のせいで体調を崩せば霊障が起きたと得意げに語るような人のことです。
(もちろん、お化け屋敷や建物を正式に借りて催されるリアルイベントで騒ぐのは、霊的なものが介在していないので、近所迷惑にならない限り問題ないです。)

心霊の類がいるかいないかに関わらず、いたずらに「場」を荒らさない。
視聴率や閲覧数を稼ぐために、心霊の恐怖を煽らない。
そして、何かあっても安易に心霊のせいにしたりしない。
それらの全てに反する行為をしている心霊番組やYouTuber、オカルト好きは幾らでもいます。

最近は、やたらといわくつきの物を見つけては、呪物だと騒ぎ立てる人も見かけます。
本当のオカルト好きの人には言うまでもないことで、釈迦に説法となり恐縮ですが、「呪い」と「祝い」は表裏一体のものです。
呪物とは、尊ぶべき神聖な物でもあることが多々あります。
神聖なものへの敬意を払わずに、面白おかしく「呪いだ、祟りだ」と言ってエンガチョ扱いするのは実に愚かなことです。

最近に見た例では、東北の震災をテーマにした映画のイベントで配られた復興の願いを込めた木札を呪物として展示した不祥事がありました。

私の好きなオカルト

先ほどにあげた一部の軽薄なオカルトマニアを除けば、オカルト好きな人は全て同志だと思っています。
きちんとオカルトに敬意を払う人の語る話を、私は楽しく傾聴しています。

例えば、怪談を話すアライさんという方は、地道に現代に語られる怪談を収集して紹介しており、私はとても尊敬しています。

オカルトが好きなのに、真面目に考察すればするほど、オカルト的ではない現実的な結論を導いてしまう論理派のオカルトマニアも好きです。

例えば、キリスト教の奇跡調査委員会が、世の中で騒がれる奇跡が本物かどうか厳格に調査して、それらを次々に否定していたせいで「悪魔の調査官」として嫌われたというエピソードがあります。
本物を誰よりも強く求めているせいで、言動が否定派っぽくなってしまう人には共感を覚えます

YouTubeの「おしえて!オカルト先生」もそのタイプのオカルトマニアで、私の好きなチャンネルの1つです。

フィールドワーク系のオカルトも好きです。
これは夜中に廃墟に侵入して騒ぐタイプの偽物と混同してはいけません。
飽くまでも、正しい調査手段を用いていることが大事です。
これは何も難しいことではなく、昼間のうちに現地に赴いて、合法的に現地を見学し、地元の人の話を聞いたりすればいいことです。