感想:スクールゾーン(5):連載休止は残念ですが、作者さんの新しい挑戦を応援します

本作は、複数の女学生同士の恋愛と葛藤を描いた百合作品です。
登場人物の重苦しい内面を描きながら、笑える日常も織り交ぜ、楽しく読み進めることができる作品です

登場人物の葛藤や抱える問題が明示され、それらの問題がこれからどう発展し、解決もしくは混迷していくのか?というところで、本作は連載休止となりました

作者さんは巻末で連載休止の理由を説明されています。
私の要約では作者さんの本意を伝えきれていないと前置きした上で、簡潔にまとめると
「他のテーマの作品に取り組みたいので、今の連載を続ける余裕がない」
という理由のようです。

これは難しい問題だと思いました。
連載の成功は全てのマンガ家さんが願うことではありますが、成功すると「一生のほとんどをその作品だけに捧げる」ことになります。
三浦健太郎氏は1回の特別読み切りを除いてベルセルクだけを描いて一生を終えました。
ガラスの仮面、ワンピース、はじめの一歩。
連載が大成功したことで、マンガ家人生の大半を1つの作品だけに注いでいるマンガ家さんは沢山います。

それは幸福なことではありますが、もしその作品が「一番描きたい作品」ではなかったとしたら、それは不幸なことでもあります。
自分は将来に一番描きたいものを描けるのか?と悩みながら、「成功している連載」に取り組み続けるのは、精神的負担があまりにも大き過ぎます

もちろん、スクールゾーンの作者さんは、本作を嫌々、手抜きで描いているわけではありません。
5巻の完成度の高さを見れば、真剣に本作を描いたことは明らかです。
むしろ、下手に手を抜けずに全力を尽くしてしまう性分だからこそ、同時に2本の連載を抱えることができず、本当に描きたい作品の為に今の連載を休止せざるをえなかったのでしょう

本作を楽しみにしている読者さんには不満もあるでしょうが(私も残念な気持ちがあります)、私は作者さんの新しい挑戦を応援したいと思います

成功している連載を休止して、何の成功も保証されていない作品に挑むのは、とても勇気のいる決断だったと思います。その難しい決断をしたことを私は称賛します

作者さんの描きたい作品は、このスクールゾーンとは180度違うテーマとのことで、どんな作品になるか楽しみでもあります。
作者さんの次の連載が成功することを私は願っています。