感想:パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか:説得力がある反面、分析を恣意的に感じる側面も

本書は、境界性、自己愛性、演技性、反社会性などの10タイプのパーソナル障害の特徴を解説した本です

周囲にそのようなパーソナル障害者がいる場合、彼らとの付き合い方を間違えると相手も本人も破滅を迎えかねません。
そのような人と付き合う際に注意すべきことが本書では語られます

一方で、そのような障害を抱えている人は、苦悩を抱えながら破滅に向かっています。そんな障害をどのようにして克服すべきか、また、障害と相性の良い仕事について本書では語られます。

本書で紹介されている幾つかのパーソナル障害の特徴は、自分にも当てはまると私は思いました。
恐らく、多くの人間は多かれ少なかれ、パーソナル障害的な傾向を内在しているのだと思います。
本書を読んで自分に当てはまるところは少しもないと思える人は、聖人君子のような人物か、内省能力のないヤバい人かのどちらかでしょう。

誰もが持つ性質が顕著に悪化すると「パーソナル障害」という症状になって表れるのだと私は考えています。

私は本書を読みながら、同じような傾向を持つ他人を思い出して、今後の付き合いに参考にしようと考えると同時に、自分の中に同じような心理的傾向があるのを自省し、本書に書かれた方法で改めようと自分を戒めました

本書は良書であるとお勧めしますが、気になる点もありました。

事例紹介には説得力はあるが、恣意的過ぎる気も

本書では、様々なパーソナル障害の実例として、歴史の有名人をあげて分析もします。
歴史上の人物もエピソードから、彼らが持つパーソナル障害気質を見出し、彼らの内面を見事なまでに明らかにします。

ですが、その見事なまでの完璧さが逆に嘘くさくも思えました。
自分の仮説に合うようなエピソードを恣意的に取捨選択して、有名人をパーソナル障害に仕立て上げているだけなのではないか?という疑問が浮かびました。

聞きかじりの伝聞や虚実の入り混じったエピソードを勝手に組み合わせて行うような、本人不在の精神分析は信頼できないと私は考えています