感想:瑠璃の宝石 (3):科学マンガの最高峰。全ての科学を好きな人に読んでもらいたい作品

本作は、綺麗な物が好きな奔放な女子高生のルリが、鉱物を研究する院生と知り合ったことから、鉱物の奥深さに触れていく物語です

本巻では、生真面目で研究職を目指すルリとは正反対の同級生も登場し、採集仲間に加わります。
また本巻では人工物が由来の鉱物が多く登場します。
シーグラス(海で見つかるガラスのゴミ)、亜鉛工場で生成されるジンカイト、ダムによって貯まったオパール、汽車が廃棄した菱マンガン鉱などが出てきます

なお、本書に登場する銀化ガラスを、作者がツイッターで実際に作っているので、興味のある方は見に行かれるとよろしいでしょう

本作は以上のように鉱物ファンの多くが満足できる内容ですが、本作の凄さはそれだけではありません。
本作は、研究や調査とは何なのかを具体的に実践して見せてくれます。
前巻ではサファイア探索で、川の砂を観察し、記録し、データから仮説を立て、データを再点検して仮説を修正し、検証するという科学研究のイロハを体現していました。
本巻でも、水質を調べることで目的の鉱物を探し当てるという研究手段を紹介しています。

科学とは知識の羅列ではなく、いかに真実を探り当てるかという手段のことです。
私は本作を科学マンガの最高峰と称賛します。何故なら、この作品は、その科学という手段の何たるかを明確に見せてくれるからです

私は本作を鉱物ファンにだけではなく、全ての科学好きな人にも読んでもらいたいと思っています。
特に若い研究者志望の人は、本書から多くのことを学べることでしょう