感想:嘘解きレトリック (10):人が他人と関係を持つのは何故なのかを問いかけてくる作品

この作品には様々な嘘が出てきました

人を騙すための嘘
お世辞の嘘
他人を傷つけたくないための嘘
自分をごまかすための嘘
その場しのぎの嘘
バレると分かってあえてつく嘘

本作は嘘というテーマを主軸に、人が他人と関係を持つのは何故なのかを問いかけてくる作品でした。

嘘が分かるかの子は、嘘が分からない人はどうして他人を信じられるのか左右馬(そうま)に問いかけたことがあります。
左右馬(そうま)は「まず何か信じて、傷つくの覚悟して飛び込んでみなきゃ始まらないでしょ」と答えました。

最終巻にはこの言葉に関わるエピソードが語られます。
様々な理由によって自分を信じたり、信じなかったりする人々の中で端崎だけが無条件で左右馬(そうま)を信用して関係を持ち続けます。
そして左右馬(そうま)の言葉で端崎は自分の道を決め、その端崎の言葉で左右馬(そうま)は探偵を始め、それがきっかけでかの子で出会うのでした。
嘘で傷つくのを恐れずに他人を信じて関係を持つことで、人と人の糸がつながり大事な出会いがもたらされます。

最終巻まで読んで「ウソが分からない人間は君が思っているより強いから」という左右馬(そうま)の言葉の意味が分かった気がしました。
とても素敵な作品でした。

最後にどうでもいい愚痴になりますが、こんなに良い作品なのに世間様からの知名度が高くないのが信じられません。
アニメ化とかドラマ化でもして、もっと注目されていい作品だと思っています。