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Facebookで出会ったカメダさんコレクターの話

今から10年程前の話だが、私のFacebookアカウントに送られてきた友達申請の話である。

過去に、これ以前に利用していたmixiで出会い系やスパムの友達申請が大量に届いたり旧友からの嫌がらせに利用されたり(後述)など散々な目に遭ってきたことについては書いてきたが、その後に始めたFacebookではそんなことも殆どなく、何名かの友人知人とも繋がって活用していた。

それでも、あくまで私の経験上ではmixiほど多くはなかったものの、スパムと思しき見知らぬ人物からの友達申請はゼロではなかった(それ自体はSNSの避けられない宿命であろうが)。今回紹介するのはその中でも最も気持ちが悪かったものである。

2013年の春頃のことだ。
まずこの「徳永」という人物から届いたFacebookの友達申請が、今回の本題の件である。

この人物、下の名前は伏せたが「◯◯子」のような女性と思しき名前だった。
このような書き方をしている時点でお分かりいただけるだろうが、当然私の知り合いではない。プロフィール写真も設定されてはいたが、写っていたのは見知らぬ女性であった。

しかもプロフィールを見たところ、性別が「男性」となっていた。名前や写真は明らかに女性なのだが。
確かに世の中いろんな人がいるから一概には言えないが、これは単なる登録間違いと考えるのが自然だろうか。あるいは、女性がストーカー避け等の理由でわざと男性で登録した、などの可能性もあるだろうか。そんな話を聞いたことはないが……

それはさて置くとしてこの徳永、もしや私が忘れているだけで実は旧知の知人なのではないか?
そう思った私は共通の友人知人がいるかどうかを調べるため、彼女(彼?)の友達一覧を開いた。そこには衝撃の光景が拡がっていた。

友達全員の苗字が私と同じ「カメダ」だったのである。
唯一残していたこのスクリーンショットに写っているのはその内の一部だが、画面をスクロールしても出てくるのはひたすらに「カメダ」さん。とにかく友達が一人残らず「カメダ」さん。漢字・ローマ字表記の違いはあったが、全部で十数人のカメダさんがその友達一覧にいた。

これだけでもかなり気色悪いが、私はこの「亀田」という自身の苗字のせいで過去に度重なるいじめを受けており、強い劣等感を抱いていた。
そんな私が感じた気色悪さの度合いは、普通の人が感じるそれの比ではなかったということは一言添えておきたい。これを見たときは本当に吐き気がした。


更によく見るとこの友達一覧のカメダさんらには苗字以外にも共通点があった。
一つ目は、男性であること。二つ目は、下の名前が「ダイキ」「トシオ」「タダアキ」など「頭文字がタ行またはダ行である」というところだ。勿論、私もこれに当てはまる。
(余談だが、中には私と同姓同名の「タツロウ」さんもいた。好きではなかった自分の氏名で唯一自慢になりそうだったのが「同姓同名がいなさそう」という点だったのだが、そうではなかったことが判明して少しがっかりした。)
それ以外の判る限りの経歴や年齢、プロフィール写真の人相(本人のものかは不明だが)などはバラバラであった。

そしてあくまで当時の私が確認した限りではあるが、いずれのカメダさんアカウントもスパムやサクラなどではなく実在の人物のようだった。
各々プロフィールなどは適宜設定されていたり、更に各々友達も一定数いたりなどしたことから、そのように判断した。サクラのために適当に生成したアカウントであればもう少しプロフィールの内容が不自然だったりするのですぐに判っただろう。無論、手の込んだことをすればその限りではないが……

更に加えると、現れたのは「徳永」一人だけではなかった。
実はこの2013年の3月から5月頃にかけて、この「徳永」を入れて4人も、同様に無数のカメダさんを友達に持つFacebookアカウントから友達申請が送られてきたのだ。
無論いずれも私の知人ではなく、名前は異なっていたが上述の特徴(女性風の名前、男性と設定されている性別、友達に持つカメダさんの特徴)は全て一致していた。

ここまでくると作為的なものを感じるが、それについては後述しよう。

この「徳永」ら、何故にこれだけのカメダさんを友達に持っているのだろうか。彼女(?)らのプロフィールにもこれについては何も言及されていなかったので全く判らない。

勿論まず、怪しいサイトに誘導するなどして金銭や個人情報を詐取する目的の悪質スパムである可能性は考えた。
だが怪しまれずに相手を騙すのが目的ならば、同じ苗字の人間を集めるだなんてわざわざ明らかに怪しい行為をする意味が分からない。
「カメダ」姓の人間がこの手の詐欺に引っかかりやすいだなんてそんな偏見もあったとしたら堪ったものではない(私個人について言えば騙されやすいと思われていたかもしれないが……)。

そうでないとすれば、本当に偶然に大勢のカメダさんを友人知人に持つ人物なのだろうか。家族や親戚などであれば、その中に同姓の人物が複数いても不思議はない。
だがそれにしても、さすがに十数人いるその全員がカメダ姓で、加えて上述の共通点もあるというのは、確率的にはゼロではないだろうが流石に考えにくい。しかもそんな人が同時期に4人も現れるだなんて尚のことである。
そもそもこの「徳永」ら、私の知人でもないのでこの説は有り得ない。

同時に思い出したのが、以前テレビ番組などでも紹介されていた、自分と同姓同名の人をSNSなどで探したり募ったりして、同姓同名のコミュニティを作っていた人物だ。その人の真似事だろうか。
だがその例で考えても、そもそも友達申請を送ってきた「徳永」ら本人がカメダ姓ではない(結婚やその他の理由で改姓することは考えられるが)。
友達のカメダさんらも下の名前の頭文字が同じだけで完全な同姓同名ではなく、極めて中途半端である。

または、当時Facebookその他のSNSで、脈絡なく特定の名前などの共通点を持つ人物をフォロー・友達登録して回るイタズラなどが流行っていたのだろうか。しかしそんな話は聞いたことがない(もしそのような事例をご存知の方がいらっしゃるならば、ご教示願いたいが)。

あるいはこの「徳永」ら、単なるカメダさんフェチなのだろうか。
確かにいろいろな意味で印象的な苗字ではある「カメダ」だが、だからといって他人の名前・苗字に興味を持ち、その名前の人物を検索して友達登録して回るだなんていくらなんでも悪趣味である。

このカメダさんたち(本物のアカウントであればだが……)も、こんな怪しい人物からの友達申請をよくもまあ承認したものだ。
先述のように亀田姓のせいでいじめられてきた私からすれば「馬鹿にしているのか」以外の感想はない。

それより何よりもこの際に私が思い出していたことであるが、それはこのときから遡ること2年少々前、mixiで私に声をかけてきた「I LOVE たつろう」のことである。

詳細については記事にまとめたが要約すると、名前の通り「たつろうという名前が大好き」だというmixiユーザーから突然メッセージを送られ、マイミク(友達)登録やメッセージのやりとりを執拗に強要された……という話である。
更に結論を述べてしまうと、これは当時仲の良かった友人による私へのピンポイントの嫌がらせであった。

この「たつろうという名前が好き」だと言って交流を強要してきた「I LOVE たつろう」と、カメダさんをひたすらコレクションしている今回の「徳永」ら、特定の名前への異常な執着という意味でも非常に似通っていると思うのは私だけだろうか。

実際「I LOVE たつろう」についていえば、この名前と自己紹介文でありながらも私以外の「たつろう」さんに友達リクエストをして回るなどしていた様子はなく、今回の徳永らとはそのような違いはある。

だが、例の「I LOVE たつろう」が、時を経てカメダさんコレクター徳永として、今度は実際に多数の見知らぬカメダさんを巻き込んで(あるいは自作自演でカメダさんアカウントを大量に作成し)復活したのではないか……などと考えてしまったのは言うまでもない。
「I LOVE たつろう」の中の人間……私のかつての友人たちが、再び私をコケにするために。

当時この「I LOVE たつろう」事件からは2年ほど経ってはいたが、当時半年近くに及ぶ執拗な嫌がらせを仕掛けてきた彼らのことである。また思い出したように何かしてきても全く不思議ではない。
あの時も彼らは、私への嫌がらせのためだけに幾度もmixiアカウントを作成してきた。Facebookでも同様の事を行うのに躊躇はないだろう。


しかしこの「徳永」ら、いずれもそれ以上のアクションを起こしてくることはなく、いずれも現れた数日後にはアカウントごと消滅してしまった。
此奴らの目的が何だったのか、犯人は誰だったのか気になるところではあったが、結局は判らず終いである。


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