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カルトという概念は差別用語である

エディンバラ生まれの英国の社会学者であるアイリーン・バーカー教授は、学問的に申し分のないカルトの定義は存在しないと指摘しています。バーカー教授によると、カルトという概念は差別用語であり、ある人が良くないと考える宗教や運動を指すために使われます。

バーカー教授は1984年に出版された著書の中で、統一運動に参加する人々が洗脳されたのだという考えを否定しました。バーカー教授の調査によると、1,000人以上の統一教会のワークショップの参加者の内、90%が教会に参加しなかったそうです。しかも参加した者の過半数がその後2年以内に離れていました。「潜在的な新メンバーが経験するプロセスは、抵抗不可能なものでも不可逆的なものでもなかった」とバーカー教授は結論づけています。統一教会の参加者が洗脳やマインドコントロールによって入会させられたという考えは、この調査によって退けられました。

マインドコントロールという用語は、ある宗教や運動を貶める政治的な動機を含むイデオロギー概念です。

「洗脳やマインド・コントロールといった概念は、何かを説明する科学的概念というよりは、感情論理にしたがって腑に落ちるという感覚をもたらすイデオロギー的な概念といえる」と、宗教社会学者の渡邊太氏は述べています(渡邊太「第7章 洗脳、マインド・コントロールの神話」宗教社会学の会編『新世紀の宗教』創元社、2002年、p.233。)。

拉致監禁・強制棄教を正当化する反カルト主義者たちは、カルトという差別用語やマインドコントロールというイデオロギー概念を濫用することによって、脱会ビジネスによる報酬を得ています。カルトという概念は、このような報酬を得るための便利な用語なのです。

画像:https://www.thebritishacademy.ac.uk/fellows/eileen-barker-FBA/

資料:アイリーン・バーカー『フランスの「カルト」に関する新法が間違っている理由』


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