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グローバル投資家がスタートアップ企業を分析する際のポイント

今日もお疲れ様です!理想的な企業経営と言うことを考えてきたが、現実としてスタートアップが経営してくれる上で、ファイナンス上重要な点を検討します!

IPOなどスタートアップを機関投資家が分析する際に気にすること3選

何百という投資家と話してきたが、実は彼らが気にしていることはそんなに数多くない。無駄なページを作って、時間をとることが大嫌いな人間なので。以下にまとめる。

  1. 採算性

  2. 再現性

  3. 拡張性

この3つに集約されると言い切っても良い

採算性

同じ言葉として、ユニットエコノミクスって言葉を使ってもいい。厳密には、定義が違うのだが、基本的には投資家が気にする観点というのは、同じで、長期的な採算性が担保されていることを求めている。違う言い方をすれば、短期的に投下した資本に対して、長期的にそれを上回るリターンが返ってくれば、ユニットエコノミクスは合っている

例えば、SaaSの会社を例にとると、平均的な顧客獲得コスト(CAC)に対して、長期的に会社にもたらされる価値、ライフタイムバリュー(LTV)を比較する。

仮に獲得コストCACが、100万円だとしよう
LTVが若干ややこしいが、以下と定義されることが多い
LTV=①平均顧客単価×②収益率×③継続期間
この③がポイント。何故なら、①×②の部分は、CACの100万円を遥かに下回ることが多く、③を長期間にすることで、「回収」する場合が多いからだ。

尚、③を計算する際に、「1/解約率(チャーンレート)」をすることも多い。これは、数列を考えてみると、「一定の期間内の解約率」の逆数が、平均継続期間になる、と数学に明るい人ならわかるだろう。

「解約率が下がれば下がるほど当然平均的な経常期間は短くなるでしょう。例えば、新規獲得が無い前提で平均解約率が10%だったら、10ヶ月ですべての顧客がいなくなってしまうわけだから、平均継続期間は10ヶ月だよね。丸解約率が5%だったら20か月で全てのお客さんがいなくなってしまうわけだから20か月だよね」といった具合です

上記のケースで、①が25万円、②が40%、③30か月、とすると、LTVは300万円となる

大事なのは、このケースでも多くの場合でも、投下した資本を、すぐには回収できていないということなのだ。利益は10万円なので、回収するのに実際は10か月近く掛かっている。つまり短期的には赤字を掘っていると言うことなのだ。

当然ながらここで問題になるのは回収の確実性=実際の継続期間、 ということになる。「実際にそこまで顧客が継続するのか」と言う問題は発生するものの、その確度が高いのであれば、長期的に判断するのは全く問題ないと言うことになる。

もう一つ大事な点としては、こういった、投下資本を長期に回収するモデルの場合、短期的には会計上赤字になる可能性が高いことである。確度が高ければ、何も問題がない。会計が悪いのではなく、物事の切り取り方がそうなっているだけなのだ。

よりシンプルな言葉で言えば、長期で必ず利益を乗せて回収できるのであれば、一定の資本を投資するのは、金融取引であれ、事業であれ問題ない。

長期だろうが短期だろうが
投下資本<(長期だとしても)回収する資

が成り立っていればいい

再現性

どんなビジネスも波がある。 が、ずっとホームランを続ける事は難しい。ホームランがあると、それを喜んで、それで終わってしまいがちだが、そこでしたたかに、何故獲得できたのか?を考える必要がある。同様の成功体験が再現できるかと言うのか大きな鍵になり、投資家もそれを望んでいる。

言うは易し、行うは難しで、先程の採算性よりも分かりづらい。ただし、極めて重要になる。 この再現性が高まらない限り、ひたすら毎年毎年案件を追いかけることになり、個人としても経営としても、安定せず疲弊しかねない。

どのような形で訴求すべきか、それは正解があるわけでは無いのだが、TAMをどう取っていくか、の説得力ということになり、結局は経営の腕の見せ所となる。

再現性=拡大再生産性
は言うまでもなく、非常に重要

拡張性

拡張性は、たとえて言うのであれば、どのように「TAMという山」を登っていくか、というようなイメージだと思います。どれだけ採算性と再現性があったとしてもアップサイドがほとんどなければ、ビジネスとしての伸びしろがない、ということになります。この伸びしろが、拡張性です。

実際には、拡張性はスケーラビリティと言う言葉を使ってもいいと思います。それがどれだけあるのかと言うことが、売上の上限になるので、非常に重要になります。

拡張性=TAMという山(が登れるのか)

まとめ

まとめると、要はTAMという市場の山を登るにあたって、「再現性」と「採算性」があればいい。簡単に言うと投資家を求めているのは、そこだけである。もちろん言うは易く行うは難し、なのかだが、100も200もやる事を作っても意味がない。

繰り返しになるが、要は、「採算性」が高いビジネスを「再現性」を高め、拡張していきTAMを着実に獲得する、それがスタートアップを含む企業経営としては非常に重要になるのである。それが投資家が求めているものでもある。

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